素材の復活   プロコフィエフ

有名作のタネが次々と。私にとっては堪らない作品群です

ProkofievOnegin71.jpg

Prokofiev (1891-1953)
Eugen Onegin op. 71 (Incidental Music to Alexander Pushkin's novel in verses)
Chulpan Chamatova (speaker), Jakob Kuf (speaker), Boris Statsenko (solo baritone)
Solisten des Rias-Kammerchors, Rias Kammerchor
Kevin McCutcheon (harpsichord / piano)
Rundfunk-Sinfonie-Orchester Berlin
Michail Jurowski
Capriccio 67 149/50 (2003/2004)

私のプロコフィエフ好きは、たぶん書籍の作品表を見た時から始まっています
数多くのバレエや交響組曲、ピアノ作品に加えて目を引いたのは
意外に声楽作品も多く、更には歌劇にも執心だったことです

そういう出会いは、まだ私が15才くらいの時のことでして
作品番号が振られているということは、全て完成作品だと思ってました
しかし所々には、どうもよく状況のわからない作品というのが散見されていて
「輝かしい名声を持つ作品の所々に暗黒の口を開けているような趣」
未完成のものも多いということが次第に明らかになって来ます

少し例を挙げても、Op. 13の歌劇《マダレーナ》は終結部が未完成ですし
ピアノソナタ第10番ホ短調 Op. 137 (43小節の後未完)もさることながら
何の手がかりもありませんが、作曲家自身は
第11番 Op. 138が続くことも雑誌の寄稿で示唆しています
やはり「物事は謎に満ちているほうが面白い」とは感じますねぇ

今回採り上げる、Op. 70前後の舞台作品も、実に多くの謎に満ちています
ロシアの文豪(よく知らないですが)Pushkinの没後100年(1937年)に向けて
Prokofievも同時に3つの作品に着手します
《Pique Dame スペードの女王》 Op. 70a (映画音楽)
《Boris Godunov ボリス・ゴドノフ》 Op. 70b (劇付随音楽)
《Eugen Onegin エフゲニー・オネーギン》 Op. 71 (劇付随音楽)
(筋書きに関しては、ネットで日本語の情報に容易に触れられます)

これら3作品は、全て上演が取りやめになってしまいました
当時のソ連では、既にかなりの思想統制が進行していましたから
関連者の逮捕も続発していたようで、何やら裏が多くありそうです
Prokofievもこのことの結果に関しては、自伝でもあまり多くは語っていませんが
ヘタに動いたり語ったりするのは命取りの時代の貴重な証言になるでしょう

Op. 71は完成作品ではありませんから、僅かに録音が存在するものの
編成などが、録音者の意向によって様々に変化しているのが興味深い
成立しなかった作品でも、そのネタの含有量はやはりProkofiev!
私から見たら、それは物凄いものを感じます

実際の上演がされていないため、後に美味な部分が転用されています
Tatjana (タチアナ) の登場の場面での繊細な弦合奏は、そう
交響曲第7番Op. 131の第3楽章のそれになっています
Op. 131と比較すると、Op. 71の方の響きは、少ない奏者で
より細やかな佇まいが際立っていると感じます

何かね、聴楽していて凄く嬉しくなるんですよ
こういうのが顔を出して来るのがね
ピアノソナタ第8番Op. 84の第2楽章の主題は
Op. 71の方では舞踏会の場面に出てきます
こちらは、長閑なブラスバンドの形態で思わずニヤリとしてしまう…

大体、Op. 70, 71だけでも、かなりの旋律が転用されていて
歌劇《セミョーン・コトコ》 Op. 81 (Op. 70b)
歌劇《修道院での婚礼》 Op. 86 (Op. 70b)
交響曲第5番 Op. 100の第3楽章の主旋律 (Op. 70a)
いわゆる「ボツ」からネタが採択されているというのもまた一興でしょうか

Op. 71で私が最も驚愕したのは、harpsichord(ハープシコード)の起用で
これは最初のプランにあったのか、ちょっとわからないのです
ただ、この楽器を用いた録音を今までに4種類聴楽していて
舞踏会の場面で突然登場して来ますが
いわゆるバロック以前のあの楽器の鳴り方では全然ないですね
半音を巧みに用いていると思われる彼一流のやり方で
20世紀のハープシコード音楽が展開されています
実に不思議な音楽だ

殆ど全く光の当たらない作品群の中に
何とも驚異的な瞬間が多数埋設されている…
非常に不思議な気分にさせれるのですね
しかし、その響きには、作曲家の名前が強烈に刻印されています

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