ピアノソナタ第9番ハ長調 Op. 103   プロコフィエフ

地味な曲ですが、やはり作曲家を堪能できる作品です

Prokoberman9.jpg

Prokofiev (1891-1953)
Piano Sonata No. 9 C Major Op. 103
Boris Berman (piano)
Chandos CHAN 9361 (1995)

戦争ソナタの先には、まだ音楽がありました
前の3曲で、あれだけピアノ音楽の極致を眺めつつ
その先には何があるのかな、とも思いますが
彼一流とも言える、童話風の世界に入ったのでした

初聴楽はFMのエアチェック。Richterの日本公演でした(1981年頃)
それまでは、この曲の体裁を全く予測出来ませんでしたので
初演者による音楽はどんなものなのか、興味津々
さてさて…

Richterは、「ちょっと拍子抜けした」との発言がありますが
(《リヒテル》筑摩書房による)
確かに第8ソナタとは雰囲気のかなり違うものです
当初は私もちょっと??でしたが
そのちょっと前にバレエ《石の花の物語》を初聴楽していて
バリバリやるだけが能じゃあるまい…なんて思ったのですね

休日の昼間に、近くの野原を散歩するような気安さで始まりますが
音響自体は紛れもなくProkofiev、かつ20世紀のものですね
気安く、且つどことなく落ち着いて、冷静さを秘めたハーモニー…
これは、別に後期の作風の特徴でも何でもなく
Prokofievの生涯に渡ってずっと流れていた特徴でしょう

少ない音数により、ハーモニーを堪能しようと思えば
ピアノソナタだったら私はこの第9番を思い浮かべてしまいます
第7交響曲に通じるような世界に
各楽章の結尾の所で次の楽章の主旋律が一瞬顔を出し
第4楽章の末尾では第1楽章の気分が蘇るような
一冊の本を閉じるような終わり方
こういう構成は特に新しいものではありませんが
全編にちらつく「いかにも」という感じの微かな楽しい山葵
もうすぐに作曲者が誰かがわかってしまうんですね

第1楽章は、どこか遠くを見つめるようにぼんやりと…
時々は昔を思い出すかのように刺激の走る第2楽章
第3楽章はもう視界がセピア色になっている…
(冒頭のメロディが本当に、いい☆)
再び思い出したように活気を出す第4楽章ですが
何というのか、往年の大奇術師が昔とった何とかで
親しい仲間に余裕溢れるマジックを見せるような…いいなぁ♪
曲の終わりは本当に最後の方が弱々しくというのではなく
気持ちが少しずつ清澄になって行く…

ソナタ第10番ホ短調Op. 137が未完のまま、というのがわかる気がしますよ
ピアノの可能性の一つの到達点である戦争ソナタに続く第9ソナタの物語…
やっぱりファンの私は、初期中期の作品とも分け隔てなく大拍手☆
素人予測を超える手を繰り出すのがプロの作曲家というものでしょう
でもって、第9番の後に来る世界は、謎の方がいい

まぁProkofievは時代に合わせて「変節」したのではない
不変の自分の世界を表現する術を少しずつ変えていただけなのかな
なんて感じるのです

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染さんへ

プロコのソナタ(完成9曲)は
彼の多様な側面がわかりやすくて面白いですよ
私は特に第6、8、9番が好きです

ピアノの音の響きは色んな表情を見せてくれるものですね。
作曲者の意図する事は、時代の流れのために分からなくなる事があるけれど…音楽の良さでしょう。
そして弾き手によっても変わるものでしょうか。
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