自分の身は滅んでも…  ヤナーチェク

聴楽の時は、いつもジーンと来てしまいます

mackerrasjanacek.jpg
Janacek (1854-1928)
Taras Bulba, Rhapsody for Orchestra
Czech Philharmonic Orchestra
Sir Charles Mackerras
Supraphon SU 3739-2 032 (2003)

私が初聴楽したのは、Wienerを指揮したDecca盤(1980)でした
強烈な印象を残した曲というのは
意外と最初の機会を覚えているものです。1989年の秋でしたね
この人の代表的作品というのは、言うのも野暮ですが
Sinfoniettaであることは、まぁ間違いないでしょう
でも、私は最初からTarasの方でしたね

Tarasは編成にオルガンがあるので、ちと演奏機会が限られるかな
まだ実演で聴楽していないので、次にあったら是非ともなんです

この曲を初めて認識したのは、各楽章のタイトルなんですね
01. The Death of Andri
02. The Death of Ostap
03. The Prophecy and Death of Taras Bulba

何と Death という言葉が3回も
印象としては、こんな悲惨な曲って…、と
それだけでも異様な気分をずっと引き摺っていましたね

01. は、敵国ポーランドの女性と恋に落ちた次男アンドレイの死
02. で、ポーランドに捕われて処刑される長男オスタップの死
03. に、復讐に失敗、死の寸前に祖国の立ち上がりを予言するタラスの死
この3つの出来事が、近代的かつJanacek独特の造り込みで表現されます

特にベル、ハープ、オルガンはこの曲の要で
第1楽章のベルは、おそらくはAndriを祝福しているのでしょう
どこか不安定な感情がこもりますが
オルガンは、あくまで腰の座った暖かい音を持続します
歴史に翻弄される人間たちの感情が結構直截に出ているような…

第3楽章の衝撃は、今でも当時を思い出すことが出来るくらいです
初の聴楽でここを3回繰り返して愉しみましたよ
途中まで、沁み込むように悲しいTarasの最期が描写されますが
「彼の祖国の未来に対する予言」が始まる(おそらく)ところからは
オルガンと金管の掛け合いによって
音楽が力強く神秘的に拡がって行く気分が、本当に心地良い
「こういう盛り上げ方ってあるんだな」と、これ程の感激も珍しいというか…
人智を超えた何かを予感させるというのは、こういう響きなんでしょう

私の頭の中の世界では、この部分からは、時間が大きく後ろに飛びます
火刑に処せられるTarasが、生涯最後に夢見た景色が現実になる…
数百年後の、他国の侵害を受けない静かで平和な祖国の風景です
日差しは柔らか、風は緩やかに流れて、時おり鳥の声が聞こえて来る…

自身は死ぬのに、正にその瞬間まで
自分よりも大切と考えた存在を上位に意識する
こういうのに、私はいつも打たれてしまうんですね

曲の大団円では、第1楽章のベルが厳かに鳴りますが
その影で、ハープが第2楽章冒頭に似たパッセージを弾いているようです
このハープは、今回の聴楽で強く意識出来たのですが
もしかしたら、親子3人が最後に揃うことが出来たのかも知れません

初聴楽のDecca盤は、オルガンの音が大きく録音されていますね
他の録音を数件聴楽しましたが、実際には明確には聴こえず
元々そういう響きの構造なのかも知れません

2003年の当盤は、ちょっとオルガンは引っ込みがちですが
大きくうねるような音楽の運び方が、とにかくこちらの耳と感情を揺さぶります

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