「古いノートから」  プロコフィエフ

「戦争ソナタ」の存在は大きいものの、こちらもなかなかどうして!

marshevprokofiev3.jpg

Prokofiev (1891-1953)
Piano Sonata No. 3 in A minor Op. 28
Oleg Marshev (piano)
Danacord DACOCD 393 (1994)

プロコのソナタと言えばピアノ、しかも第7番なんでしょうけど
私が最初に衝撃を得たのは、この第3番イ短調でした

初聴楽は1981年の4月でしたが
当時の私は「音楽は基本的に長調だわ」等とMozart風の発想でした
そこに出て来たProkofievのピアノソナタのラインアップを見て驚愕
第1番へ短調Op. 1、第2番ニ短調Op. 14、第3番イ短調Op. 28、第4番ハ短調Op. 29
いきなり短調4連発ということで、これは尋常ではないのでは…、なんて感じまして
(ついでに第5番はど真ん中ストレートの何とハ長調!)
しかも次の短調ソナタは未完の第10番ホ短調Op. 137ですから
いきなり40年近いタイムラグが生じています

この第1番から第4番まで、いかような嵐が吹き荒れているのだろうか…と
畏れ戦きつつも、「とにかく聴楽あるのみ」と気合に溢れた30年前でした
(まだ気温30℃で日本中が驚いていた頃です)

第1, 2, 4番で、「どこか煮え切らない」という想いを癒したのは、この第3番でした
演奏時間約8分弱という短さの単一楽章ながら、そのインパクトは強大です
「伴奏と旋律」という、当時のピアノ音楽に対する私の印象を思い切り
というか無理やりに覆してくれましたねぇ
とにかく激烈!、激烈っ!、激烈~!という調子で押し捲る印象です

音楽全体に、極太マジックで引いた線の上を
これまた強烈に粒の揃った煌びやかなパッセージの奔流が彩ります
Opusの付されたProkofievのピアノ作品の中でも飛び切りの猛烈さ加減ですが
主たる素材は、第4番と共に既に1907年(Sergeyは16才!)とのこと

Prokofievはこれら2曲には《古いノートから》という副題をつけていますが
10年前の材料に対して「破棄するに惜しい」という感慨は理解できます
今になって冷静に聴楽すると、確かに第1ソナタに通じる「一抹の古さ」を感じ
そういう素材を復活させるProkofievの審美眼はかなりのものと思いますが
数年後に遭遇する筈の、パリ楽壇への挑戦状としては頼りない感じです

しかし、曲の内包する無限のエネルギーは時間を泳ぎ続けて
今も学習者のレッスン曲として立ちはだかり、リサイタルでは
ほぼ100年後の現代の聴衆をも驚かす、小型台風なのですね

この曲を聴楽すると、「とうとうソナタ形式も成熟期を迎えたな」と感じます
律儀に「型」の連続を重視するという、従来の感覚とは異なり
特に各主題再現に関しては、極端に淡白に、かつ激烈に運びます
ソナタが「型の踏襲」から「我流の物語」にまで到達した、という感慨が出ますね

なお、このCDには、超レア作品Op. 89, no. 8が収録されています
7つの大衆歌曲と行進曲イ長調Op. 89の最後に配置されているピアノ独奏曲ですが
Prokofievらしい和声の崩しを聴楽できる、爽やかな行進曲ですよ

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確かに激しいですが、考え込まれているというか…スカスカな感じは皆無ですね
しかし厚ぼったくもならないです
当時のProkofievは、先輩作曲家の作品と同じようなハーモニーを
周到に避けていたようです

クラシックを知らない状態のまま、聴いたのがプロコフィエフの曲だったと思うのですが…
それまでのクラシックのイメージを覆された感じでした。
ピアノだけでも激しいのでしょうね。
私の想像ですが…
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