「怪作」に正面から立ち向かう☆   プロコフィエフ

どひゃ~☆ 久しぶりに脳みそを激しく揺さぶられるような録音でっす☆
でもって少し時間が経つと「美しい」と改めて思ったのでした


IsserlisProkofiev58.png

プロコフィエフ Sergey Prokofiev (1891-1953)
チェロ協奏曲第1番ホ短調 作品58 Cello Concerto in E minor Op.58
スティーブン・イッサーリス Steven Isserlis (1959-)
フランクフルト放送交響楽団 Frankfurt Radio Symphony Orchestra
パーヴォ・ヤルヴィ Paavo Jarvi (1962-)
ハイペリオン Hyperion CDA68037 (2013)

聴楽後、あまりの怪作かつ快作ぶりに大笑いしてしまいましたね
不思議ですね。身体は疲れていても、音楽自体に惹き込まれてしまう☆

Hyperionは、この録音のわずか5年前に同曲のリリースがありました
(独奏アルバン・ゲルハルト、リットン指揮ベルゲンフィル CDA67705)
その時も、このOp.58の真の魅力は理解に届かなかったのですが
(カップリングの交響協奏曲Op.125に開眼したのはゲルハルトのお蔭)
遂にOp.58においては、イッサーリス氏がぶちかましてくれたのでした

演奏時間は次の通り (5:33/11:52/19:02//36:27)
これを見てまず!と思ってしまうのですが
この構成は標準的なチェロ協奏曲のものとはとても思えません
演奏時間の構成比が1:2:3とは軽い驚きなのですな

しかし、時代はスターリン恐怖政治のソ連時代1938年
よくこんな曲を書いて無事でいられたよな~
単に気づかれなかっただけだと思いますけど
政治機構はいつの時代も完璧ではないことに助けられました

作曲者後期の特質は、突如として現れる幅広い旋律に現れていますが
それを包囲しているのが「らしい」不協和音と過激な半音階なので
個人的には交響曲第2番がフラッシュバックしてしまいますね

作品のウェイトはアレグロの第2楽章、大型変奏曲もどきの第3楽章にありますので
第1楽章は自己紹介というか、前口上的になっています
イッサーリス氏は、トレードマークの「ガット弦」をここでは使わずに
スチール弦を使ってこの曲の出す音量に対策しています
曲の最適な再現のためには、「自分の売り」も控える…プロだな
(それほどまでに関心をそそられた音楽ということか)
ここでのチェロは「むっちゃ」雄弁で、録音自体も独奏の存在感を際立たせているっ☆

作曲者は、この作品でとにかくチェロ音響のバラエティの極限を目指したのでしょうか
この後にできたOp.125は、Op.58の素材を用いた改訂版ということを考えると
全く新しい作曲をしようとは考えなかったというのは、実によく理解できることです

奏法的な印象だと、ピツィカートが極端に少なく
全体的に高い音域を明暗のコントラストかなり強めで鳴らしているという感じです
イッサーリス氏は、張りのある音で、この怪作を正体不明にすることなく
終止ハイテンションを持続させていて実に愉快だ☆

バックの管弦楽が、独奏とのハーモニーを持続する役割を持つというよりは
背後で「計算づくの大混乱」を演出する中、瞬間的にハモる感じで
特に急速な第2楽章では緊張感が持続しまくります
この楽章で出る後期の特徴丸出しの美旋律が楽章の後半で
管弦楽の異様なサポートの上で短調的かつ不気味な変容をしていく辺りに来ると
もう完全に聴楽する側としてはノックアウトされております
「い、一体どうすればこんな発想が出来るんだろうかっ!」てなもんです
とってつけたような長調的な終わり方もチャーミングですね

第3楽章は変奏曲形式ではあるものの、途中で「間奏」とか
いかにもプロコフィエフ風の摩訶不思議なカデンツァ的時間帯とか
第1楽章の主題による「回想」の部分が組み込まれていて
なかなかに変てこでも充実した内容になっている、かな?
変奏される主題のポーカーフェイスぶりもよろしい
口元がほころんでいるのに、目が笑っていないみたいな感じの異様に整った旋律なのに☆

でもってさんざんにあちこち遊びまわったあげく、いきなり速度を思い切りあげて
どことなくピアノソナタ第6番第4楽章の最後の錯綜とした音響まで来ると
弦楽器というよりは管楽器的な信号音を発生させていたりしますね
この曲が当時の段階で西側で知られていたら
かなりのセンセーションになったと思うのですけれど

交響曲の大音響とはまた違った発想による「変な音響」による盛り上がり
緩急のメリハリに翻弄されている内に「終わっちまったぜ!」
作曲者による「どうだい!よくわからなかったかも知れないけど楽しかっただろう!?」
という声が聞こえて来そうな気がして仕方ありません☆

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