もうすぐ初演後100年☆   プロコフィエフ

私的に不滅と思われた、アバド&シカゴの録音に対して
遂に肩を並べる録音が出てきたようです


LittonProkofievSym5.jpg

プロコフィエフ Sergey Prokofiev (1891-1953)
交響組曲 (スキタイ組曲) 《アラとロリー》 作品20 Scythian Suite (Ala et Lolly) op.20 (1916)
ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団 Bergen Philharmonic Orchestra
アンドリュー・リットン Andrew Litton (1959-)
ビス BIS-2124 (SACD, 2014)

jpc (ドイツの通販サイト) で試聴してみて!と思ったわけです☆
今回のリットンのまとめ方は、アバドさん録音へのリスペクトか?
と思ってしまうくらいに、「似ている」と感じました

この曲の録音は、個人的な印象だと
本当に「線の細い」ものが多い気がしていました
断続的な大音響でハッタリをかます気まんまんの感ありなんですが
この曲は、そんな瞬間芸では対応は不可能だと思います

重厚な感じを損なわずに、リズムを引き締めるのは
並大抵の指揮技術では難しいでしょうね
もちろんオケの技量も問題になって来るのですが
ベルゲンフィルは、そこを難なくクリア
アバドさんの指揮するシカゴ響と同質の響きがするということは
やはり、かなりの水準に達していると言えましょう

各曲演奏時間の左がアバド、右がリットンです
01《ヴェレスとアラの崇拝》
The Adoration of Veles and Ala (5:37 - 5:59)
02《邪神と闇の精の踊り》
The Enemy God and the Dance of the Spirits of Darkness (3:08 - 3:17)
03《夜》 Night (6:13 - 5:55)
04《ロリーの輝かしい出立と太陽の行進》
The Glorious Departure of Lolly and the Sun's Procession (5:30 - 5:22)

リットンの成功は、まず01の演奏時間を6分かけないという点でしょうか
なぜかこの01の演奏の出来がイマイチな録音が多い印象があり
その時点で「これは…ダメかも」みたいな気分になりがちでしたが
表情は濃い目に、しかしテンポは明瞭にした結果
とりとめのない感じを回避することに成功しています
メリハリを明確にした方が、幻想的な空間が意外にしっかり形成されるのかな

でもって最大のポイントは、02に3分をかけていること
2分台だと、本当にセッカチになってしまい
「悪」よりも「道化」みたいな安っぽい印象に繋がりがちです
この演奏はここが堂々と幅広い押し出しで、大変結構☆
悪役がピリッとしないと盛り上がりませんからねぇ

03の中段の荒れ模様の後で
フルートとピッコロがmolto dolceで旋律を奏でる箇所が
アバドさんよりも結構急いでいるのがちょっと不思議な感じがするのですが
この箇所以後、終わりまで徐々にリタルダンドしつつ向かう
沈静するような演出を引きだしているようです
アバドさん慣れしていると、少し「えっ?」と思うのですが
これはこれで、一つのやり方かなぁ

04の大団円の箇所には、楽譜を確認したところ
ティンパニは休みだし、大太鼓も鳴りませんが
低音域だと、チェロとコントラバスは思い切り強奏しています
どことなく、ティンパニが鳴っているように思えるのですが…
(ここは本来のスコア通り、低弦が聞こえているのだと思いたい)

以前、ラトル盤 (EMI) で、結構露骨なティンパニの追加がありましたが
これに関して、ちょっとネットを検索していたら
10年以上前の2ちゃんねるのスレッドの書き込みに
「自筆譜にはティンパニが書いてある」などというものがあり
ちょっと驚いてしまったのですが、実際どうなんでしょう
いくつかの英語の文献では、そういうのは見つけられなかったんですよ

そのスレッドでは、ディアギレフに削るように言われたということなんですが
この曲の原型であるバレエ自体が、ディアギレフにボツにされてるんですよね
ディアギレフが、ダメ出しし終わったものに関わるなんてことがあるのかな?
方々検索してみたのですが、疲れたんでまたの機会にします☆

自伝なんかだと、初演後のティンパニ奏者のエピソードがありますから
(破れた皮をプロコフィエフに進呈したという)
もしかしたら、ディアギレフとは関係なく、という感はありますね
そう考えるのも、なかなかオツなものです

しかし、初演の時のオーケストラ、大変だったろうなぁ☆
リハーサルを見てみたかったです。
(1916年1月29日ペトログラッド、作曲者指揮)
曲冒頭の大喧騒で「ふざけんな!」
第2曲中ほどのVnの超高音域パッセージで「いいかげんにしろ!」
第4曲の行進のリズムに乗ったクラリネットの「旋律」で「ばかやろー!」
みたいな感じでしょうか。お疲れ様でした~☆
まぁ作曲者 (当時25才) は、自分の創作がオケで実現可能と思ったわけで
それを実際に鳴らしてみせるオーケストラを本当にリスペクトしてしまいますよ

まぁ今回、ここまでクリアかつ迫力満点の録音で
行き当たりばったりの大音響の羅列に陥らなかった…
それだけでも、もう十分に素晴らしいものでしょう☆
来年の1月に、初演から100年になるのも感慨深いです

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