遠い過去からの「優しい何か」   ドビュッシー

全く想像もつかない100年以上の昔
そんな空間に連れて行ってもらえるような静かな贅沢が漂っています


CassardDebussy.jpg

ドビュッシー Claude Debussy (1862-1918)
前奏曲集 第1巻 12 Preludes Livre 1
フィリップ・カッサール Philippe Cassard (1962-)
デッカ Decca 476 4770 (1991)

1991年に集中的に録音された曲に加えて
2011年に新発見の曲が録音され
デッカから発売されたものですが
新発見の曲との録音時差が20年というのは面白いですね
CD製作ならではの出来事と言えるでしょう
もし2012年のドビュッシー記念年がないと
日の目を見なかった可能性もありますね

1898年製作のベヒシュタインのピアノで演奏されています
先日ここで書いたリュビモフ盤 (ECM) と同様
尖鋭で冴えた音とは違う、独自の世界…

4枚組ボックスのモノクロ写真そのものの音楽というか
100年以上前の時代から、音が伝わって来たような
緊張感とは別種の「嬉しさ」があります
鋭利な響きが聴覚に突き刺さる、ということは全くなく
どことなく、不思議な靄が五感を満たすような…

聴楽中に感じたのですが
今回初めてこの曲に対して持った印象が
「記譜されたものでなく、即興のような」です
一音ごとの残響を身体に吸収しつつ
次に鳴らす音を指が自然に選んで行く
そんな気分に浸ったのでした

狭くなく、広すぎもしない部屋の中
誰に聴かせる訳でもなく、楽しみのために弾く
そんな気儘さが緩やかに伝わって来るような気になります

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