「暗黒から歓喜の物語」を超えたその彼方   マーラー

今月末から来月初めまでは、一年で最も仕事の忙しい時期
大曲の聴楽としては、今年最後の機会になるでしょう
(本当は聴楽したいのですが、途中で疲れて寝ちゃうだろうし☆)

SinopoliMahlerCollectors.jpg

マーラー Gustav Mahler (1860-1911)
交響曲第7番 (1908)
フィルハーモニア管弦楽団 Philharmonia Orchestra
ジュゼッペ・シノーポリ Giuseppe Sinopoli (1946-2001)
ドイツ・グラモフォン Deutsche Grammophon 471 451-2 (15CDs 1992)
(新品:2013年10月、タワーレコード新宿にて購入)

この交響曲に対する巷の評価は省略するとしても…
初めてこの曲の存在を認知した時の 《夜の歌》 というタイトルは印象的でした
第1楽章の序奏での引きずるような音に続き
遠近感不明瞭なホルンの独白は、なかなかに衝撃的だったかな
(初聴楽は、ノイマン指揮チェコフィル。FM放送で第2楽章途中まで)

このホルン、咆哮とまでは行かないし、呟きと言うよりは決然としている
何か忽然と中空に浮かぶ「何ものか」という趣を感じます
特に第1楽章全体に感じるのですが、第6交響曲に比べると
楽想間の繋ぎ目が微妙に重なり合い、ぼやかされているような
何とも不思議な幻想的気分にさせられように思えます

その微妙な重なり合いから立ち上がる各楽想は
なかなかに明瞭で、輝かしい要素がありますね
楽章後半で出現するハープの波のようなパッセージも印象的で
スケール大きく、重量感もある
それまでの交響曲と、第8以降の別世界の繋ぎ目にも感じられるのです

第2から第4楽章は、これまた第1、第5楽章に挟まれた別世界
大勢の来客がいるホールから離れ
別室で静謐な気分のうちに楽しむ小宴会のような感じかな
外の喧騒から離れ、どんどんと老舗旅館の迷路のような通路をたどり
奥の座敷に辿り着く、そんな気分にもさせられます

それら「コンパクトな宇宙」に遊ぶ時間が終わると
再び第5楽章が輝かしい幻想を掻き立ててくれます
後半になって、第1楽章の主題も回帰して、壮大な音の戯れの中
第7番はその幕を閉じる…

第5から第7までのトリオとして語られることも多い曲ですが
特に第1楽章の洗練度は、3曲中最高レベルに達していると思います
人間が想像する特定のストーリーから離れて行くような
「考察する」よりも「感じ取る」ような音楽が流れて行く

シノーポリの演奏は、かなり長大な方じゃないかな
(24:36/17:04/09:54/17:37/18:17//87:28)
他の指揮者の著名盤よりも、第1楽章が3分は長いのではないか
楽章冒頭の引きずるような序奏がゆっくりしているので、ちょっとした驚きです
しかし、そのように悠然と構えた組み立てのおかげで
(決然とした第1主題は、このテンポで重厚さが生きてくると感じる)
これ以上の堪能はちと想像しにくいくらい、聴楽子としては
楽章の中で思い切り聴覚を遊ばせて貰える贅沢を得られます

次の第8交響曲で、マーラーが声楽を導入した理由もわかる気がしますよ
器楽のみの音楽で、工夫するべき、洗練させるべきポイントを
その時点ではやり尽くしている感があり
もう1曲純器楽でやる気分にはならなかったでしょう

もっとも、マーラーが天才と思うのは
声楽を入れてすら、《大地の歌》で、洗練の度をほぼ究め
その先に行こうとしたことですね
「その先」を私を含む聴楽子は、完全な形では聴楽し得ないのですが
代わりに、想像する楽しみの余地が残りました
これを楽しいと考えるかは聴楽子次第なんですが
だから面白いとも言えるかな

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