左手の「冒険」  プロコフィエフ

当《聴楽記》、初期の投稿だったRavelに続く「左手」協奏曲の話です
Prokofievのピアノ協奏曲は、運よく5曲全てを実地聴楽することが出来ました

No. 1 Postnikova, Rozhdestvensky, Yomiuri Japan Symphony
     (24/10/2001 Suntory Hall) 
No. 2 Toradze, Gergiev, Kirov Orchestra 
     (25/11/2002 Tokyo Bunka Kaikan)
No. 3 Hideki Nagano, Dutoit, NHK Symphony
     (27/06/2001 Suntory Hall)
No. 4 Izumi Tateno, Lazarev, Japan Philharmonic
     (02/12/2005 Suntory Hall)
No. 5 Postnikova, Rozhdestvensky, Yomiuri Japan Symphony
     (03/10/2001 Suntory Hall)

実際のピアノの音の大きさや迫力は、CDでは全く掴めなかったものでして
それまでに親しんだ録音とは別の世界のものでした

とにかく物凄い迫力なんですよ、それまでの録音での印象では
比較的軽めにピアノ音が通り過ぎるという感じでしたが
全くそれが覆されるようなド迫力で(4番だって本当に凄い)
個々のパッセージが、うっかりしていると、頭上を通り過ぎて行ってしまう
Prokofievの書いた情報を全て耳に入れてやろう、なんて考えたりね…
それを慌てて耳に入れようと、手を出して掻き集めたくなる衝動に駆られました

さて、第4番。Izumi Tatenoの独奏というのが意外でしたが
彼のDebut Recitalの曲目にはソナタ第2番ニ短調Op. 14がありましたから
当時、体調の不良から復活直後ということもありましたし
どんな演奏を聴かせてくれるか、という興味も期待も大にしていました

最初の1音から明瞭な音が聴こえ
どちらかと言えば印象派風(第2楽章の影響か?)のイメージの曲が一変
静けさと迫力を兼ね備えた情熱的な曲だと感じ始めた最初でしたね
顔を紅潮させて左手一本で駆け回るMr. Tatenoの演奏は
あくまでも明晰な音の鳴り響く「鍵盤上の冒険」を堪能させてくれました

聴衆の多くが聴楽し慣れていない曲だったせいか
どの曲も終了後の拍手が非常に長く続いたのが印象的でした

すっかり印象の変わってしまった第4番の録音に対して
印象の近い演奏を求めた現時点での結果、次の盤がありました


demidenko145.png   demidenko23.png

Prokofiev (1891-1953)
Piano Concerto No. 4 B flat major op. 53 (for the left hand)
Nikolai Demidenko (piano)
London Philharmonic
Alexander Lazarev
Hyperion CDA 67029 (1998)

私はなかなかこの盤の存在に気づきませんでした
いかにもHyperionなジャケットということにも一因があるかも…
(でもProkofievのCDだと気づきにくいというのも味がありますね)

HyperionでのDemidenkoの盤は、殆どがbudjetのHeliosに移行していますが
これはまだバリバリの現役CDA系列ですね、売れ行きが比較的良いのでしょうか
第2、3番(CDA66858)は、同レーベルでも少なくなった現役CDA66000番代ですから
どこまで残るか興味深くもあります。

初演は1956年ですから、まだ54年しか経っていないのか
(考えてもみれば、交響曲第7番もまだ還暦を迎えていなかった)
Prokofievとしては、ソ連に拠点を移す少し前で
私には、最も錯綜とした不思議かつ興味深い時期です

(Mr. Tatenoの第4番ライブのLazarevが指揮しているんですな…)
こちらはでは、Demidenkoの滴る水滴を想わせる豊かなピアノが響きます
それぞれ個性の際立つ4つの楽章に合わせて
急速楽章でも、非常に余裕の感じられる、しかし弛緩していない
いわゆる一つのDemidenko WorldがProkofiev Worldと共存しています

Prokofievのピアノ音楽に関しては
迫力ないし明晰と、優美とは共存が難しい印象があり
優美の方が立場が少し弱いかな、と感じるところもありますが
この盤は、一方が他方を引き立たせる相互の役目を感じることが可能と思います
この点で、私的には非常に絶妙かつ不思議な立場にいる盤ですね

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