グライダーで宙を滑るような…  ベートーヴェン

初の聴楽以来、私のBeethovenピアノソナタの最高峰です

Paullewisbeethoven.jpg

Beethoven (1770-1827)
Piano Sonata No. 21 'Waldstein' in C major op. 53
Paul Lewis (piano)
Harmonia Mundi France HMX 2901904 (2006)

この曲は、少し前の投稿で書きましたが
何の予備知識もなく聴いて、最後まで聴かされてしまった
そういう曲の一つですね。勿論興味深いという点でです
初の聴楽は、比較的新しく、2000年に入ってから
NaxosのJeno Jandoの全集でしたね

一体何が私の聴楽心にインパクトを与えたのか
これはもうその曲に備わった「新しさ」という他にありません
形式的にどこがどうとかは、専門家さん達に任せておきますが
聴楽してみて、この曲が19世紀初期の産(1805年)とはとても信じられません
それくらい私には「モダン」が感じられました
個人的の印象では、100年以上先を行く精神すら感じられるのですが…

曲の成立過程は省きますが、Ludwigも相当な気合は入れていたでしょう
この辺り、彼以前の職人的気質の音楽家の気質、革新派Beethovenの気概
それらが上手く絡み合った奇跡的な作品と言ってもよいかも知れません

さて、このソナタに関しては、私的なポイントがあって
「第1楽章にインテンポ感を終始持続していること」があります
この点で初めて驚異的な満足感を得たのはPollini新盤(1997, DG)でしたね
提示部と再現部の同じフレーズの箇所に、何やら技巧的な難所があるようで
(第2主題の後で次第にテンポが上がってくるその結尾付近)
そこに来ると急にテンポが緩んで安全運転になる録音が多いような…
このテンポの急激な緩まりは、非常に違和感を感じます

私のこの曲のCDの購買史は、このテンポとの闘い(大袈裟)でして
今回の投稿でのLewis盤では、全体に大らかなテンポが取られていますが
キめる箇所をきっちりキめていく、心憎いばかりの演出で
(11:27/4:35/10:52TT26:54の演奏時間はかなりゆっくりな方?)
インテンポを守るということは、速く弾くことはでない、という良い例かも知れません

個人的に強烈な印象を持っているのは、第3楽章の開始部分
第2楽章の音の余韻の後に続く、豊かなハーモニーの上に主題が乗る所でして
ここに、緩やかに空中に舞うというか、空を飛ぶような心地良さが感じるんです
ジェット旅客機に乗って快適な旅というのではない、何と言うのか…
自然な浮揚、グライダーで宙を静かに滑る感覚とでも言うのでしょうか
(グライダーには動力がついていない)

第1楽章からして、豊かな響きに支配されていて
その総まとめ的な第3楽章に辿り着きますが、地面から飛び立って
何か未知のもの、この投稿の書いた100年後の世界に繋がる何かを想います

別のポイントは、この楽章の主要主題と共通点のないパッセージの出て来るところ
楽章半ば、第1主題が幅広い和音で鳴りながら沈静して行き
少しばかり以前を懐古するような、やや翳りのあるフレーズが出て来る箇所で
ここだけにしか出ないパッセージなので、おや?とも思うのですが
静かな輝かしさを誇るこの楽章では、非常に重要なスパイスなんでしょうね

Lewisは、終始緻密でありながら悠然さも感じさせるスタイルの演奏で
次第に何だか音に包まれる幸せを感じながら
(こういう安心感は、他の曲にはない特徴と思いますが…)
素晴らしく堂々としたハ長調の終止を聴楽させてくれます

この21番と、最後の30, 31, 32番が
私的には未来に繋がっているという感覚を受けるのですね

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