ラヴェルの曲は、どれがベストとかいいにくい感じがしますね
どれがもう何て言うのか、ラヴェルとしか言いようがないんですから


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ラヴェル Maurice Ravel (1875-1937)
管弦楽のための舞踏詩《ラ・ヴァルス》
La Valse, Poeme choreographique pour orchestre (1928 or 1929)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 Berliner Philharmoniker
ピエール・ブーレーズ Pierre Boulez (1925-)
ドイツ・グラモフォン Deutsche Grammophon 447 057-2 (1993)
(中古:2012年12月、ディスクユニオン池袋にて購入)

ラヴェルの作品だから、お洒落で華麗で、だけとは限りません
その傑作群の中にあり、どこか異様な表情も見せる異色作と言えるかも
19世紀ウィーンへのリスペクトもあるのでしょうが
1914年に着想(実現せず)された交響詩《ウィーン》は
第1次大戦(ラヴェルも従軍した)によって
作品に「美」のみを散りばめること
これをラヴェルに断念させてしまったかも知れません
究極の美しさを持つ舞踏の瞬間と
そんな愉悦の時間が凶事によって崩壊させられて行く
どことなくラヴェルの苦しみを察してあげたくなるような音楽になりました

当時の世相をどこかに反映したような
異様な側面を意識させられるような演奏なら
バレンボイム指揮パリ管弦楽団(DG, 1981)が記憶に残りますが
これは、この曲の謎の側面をよく出したと思います
ラヴェル作品の一解釈として興味深く
ブーレーズ盤の登場までは、この曲といえばバレンボイムでしたね

しかし、《ラ・ヴァルス》の美しい瞬間も愉しみたい
無意識にそういう録音を探していたような、そんな時が続いていたのかなぁ

私の初聴楽はもう30数年前のFMエアチェックだったと思いますが
当時のテープ録音では、この曲の良さはわからなかったですね
音量が大になり、音楽の輪郭が明瞭な箇所でのみ
「おおっ!」とか、はしゃいでいたような気がしますよ

まぁそんな、大音量の華々しい部分のみでは、楽しみ方にも限界が…
今までにも数種類の演奏で聴楽しましたが
初めてこの曲の全体的な美しさを認識させてくれたのが、今回の盤です

録音計画の勝利とでも言うのでしょうか
既に今から20年前の録音でありながら
「明瞭」とは別の表現を使いたいのですが、言葉が見つかりません
「よく聴こえる」んですよ。曲を構成して、流れを支える要所の音達がね

ワルツの三拍子の気持ち良さとは異なるような…
変幻自在の時間の渓流の流れに乗る快感かもね

鋭角さとは一線を画す音響の収縮を堪能する13分43秒
今まで聴楽した演奏中だと、ゆったりした方ですね
一つの旋律が宙に吸い込まれると、また別の音が空から顕れる
それらを載せて進む管弦楽のノリが実に自然と感じます

「いつものベルリン・フィル」とは違う側面だと思うのですが
細部においては、ベルリンは抜かりないのは当然でしょうし
これはもうブーレーズの演奏プランに驚嘆するしかありません

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