彼方よりの妙なる調べ   シルベストロフ

「妙なる調べ」という言い回しを思い出させてくれる盤なのです

SilvestrovECM1988.jpg

シルベストロフ Valentin Silvestrov (1937-)
《後書きのある2つの対話》 Zwei Dialogue mit Nachwort (2001/2002)
アレクセイ・リュビモフ (ピアノ) Alexei Lubimov (1944-)
ミュンヘン室内管弦楽団 Munchener Kammerorchester
クリストフ・ポッペン (指揮) Christoph Poppen (1956-)  
ECM New Series 1988 (2006)

おそらくは、私のCD棚の中にある最も年代の新しい曲だと思います
この作曲家を知ったのは、やはりECMの盤でしたね
("Der Bote" : The Messenger ECM 1771, 2000年)
その盤では、アレクセイ・リュビモフ (1944-) が弾いたアルバムタイトル曲
とにかくそれが、強烈な印象を残したことが大きいのですが
強烈といっても、苛烈な音楽という意味では全然なく、全く逆です

シルベストロフの略歴はまた不思議なものですね
ソ連の人ですが、1974年に作曲家同盟を除名されたとあります
かなりの前衛作曲家として知られていたらしいですが
その前衛さが何か問題だったのでしょうか…
聴楽した限りでは、前衛の人だったとはとても思えません
かと言って、退行ではない、何か突き抜けた空気が漂います

ECMのHPや、ブックレットの中には
「自分の音楽が、新しい何かではなく、既に存在したものへの反響なのだ」
という趣旨のことが書いてあり、今回採り上げた曲の中にも
シューベルトとワーグナーの旋律が使われています
「後書き」として、シルベストロフ自身のモノローグというか
自身が黙して立つ周囲の静けさの中を漂うような音楽が優しく響きます

数百年程度の時間の中で、音楽の様相っていろいろ変化しているんですね
第1曲のシューベルトの曲は口承で伝えられたことで知られる
Kupelwieser Waltz と呼ばれるものですが
どこか懐かしいようで優しい、慰められて泣きたくなるようなものを感じます
リュビモフのテンポも、ゆりかごの動きを思わせるような安心感
シルベストロフは、この旋律の最後の音に絶妙な音を添えて
独特の「終止したようなしないような」という空間を構成しているようです

第2曲の元ネタは、ワーグナーの「主題変イ長調WWV93」
この時代まで来ると、旋律のというものが近代化して来るのがよくわかる…
長調とはとても思えないんですが、時代が少しずつ複雑さを増しているのかも

時代は変われども、根底に流れる何かは不変なのでしょうかね
時代のハーモニーを未来へ辿って行く僅か10分前後の曲ですが
何ものにも代えがたい安心感がいつも流れているように聴こえます
どことなく薄暗い大気の中、遠方におぼろげに明滅する光源を見るような…

アルバム全体が、このような「ゆったり感に包まれる」75分間です
シルベストロフ自身の独奏も収録されていて
彼方からたなびく、繊細な何かを聴かせてくれますよ

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