「英雄、運命、田園、合唱」ではなく…  ベートーヴェン

大作曲家の地味な作品は
繁華街の喧騒からちょっと離れた
ひっそりとした路地を歩くような愉しみがあります


beethovenhatink.jpg

Beethoven (1770-1827)
Symphony No. 4 in B flat Op. 60 (1806)
London Symphony Orchestra
Bernard Haitink
Lso Live LSO 0587 (2006)

今書いていて気づきましたが
この録音は、作曲開始の200年後にされているんですね
自分の創造したものが、200年後に他人によって採り上げられる…
一般人のレベルだと普通、200年後の人間が
当時の無名の一般市民を記憶しているなんてことはあり得ない
(有名になるというのは、非常に難しいのだな)
ディスプレイの目の前で、驚異的な事実が表示されているんですね

今回は全集中の1枚ですが、それにちなんだ話を♪
ベートーヴェンの交響曲全集は、全ての交響曲全集の代表かも…
と思うようになったのは、図書館で読んでいた雑誌の広告ページを見てから
Karajan (ヘルベルト・フォン・カラヤン 1908-1989)の70年代全集で
ホルガー・マティス (Holger Matthies 1940-) の製作した「数字ジャケット」

当時の私は中学2年生くらいでした
Beethoven の交響曲が9曲あることをやっと知ったくらいの頃で
(3, 5, 6, 9番以外は楽譜が散逸して幻の曲だと本当に思ってましたよ)
特に愛称のない交響曲の収録されたジャケットは衝撃的でしたね

で、Matthies のデザインは、作曲者の生涯における
交響曲の「立ち位置」や「存在感」も表出する秀逸なものと感じられました
「荒れ地にて朝日を浴びる第1番と第2番」「燃える第3番」
「しっとりと闇に煌めく第4番」「青空に向かって聳え立つ第5番」
「しっとりとした田園の夜露に濡れる(ような)第6番」
「演舞場の前にある噴水の水面の上で踊る(ような)第7番」
「謎めく荘厳な靄の中から現れる第8番と第9番」

「俺もいつかは第4とか第8に親しむ時が来るんだろうな」
「番号順に聴楽しないと、古典音楽の深淵は理解できないのではないか?」
なんて、大して学校の成績も良くないヒマな中学生が思いつく程度の
「趣味的時空間」で遊んでいました
小遣いが原動力のLP時代ですから、1枚を聴楽し倒して
「各曲を十分に理解しつつ、楽聖の生涯を辿り
ついに歓喜の歌に至る時、それがいつの日か来るであろう」…なんちって
今でも「全集購入に伴う儀式めいた気分」はここから始まっているのでは
そう思うことがあるんですよね~

私のように、30年くらい前からClassicalの聴楽を始めた人の場合は
なけなしの資金を蓄えて Beethoven の交響曲全集を購入することが
古典音楽好きとしての「元服」だったのではないでしょうかね…
Boy から Man になったような気分がする☆

今回の第4番に関しては、やはりシューマン (Robert Schumann 1810-1856)の言う
「2人の巨人(第3と第5のこと)の間にいるギリシアの乙女」の例えが上手いですね
第3よりも、むしろ第2の気分を引き継いだような印象を私は持っていますが
洗練度では第2よりもかなり光っていると考えつつ
第2の陰のような謎めいた感じがするのがイイなと思っているわけです

Haitink の指揮は、非常に引き締まった感じの運び方で
全合奏の和音などは、本当に心地よく決まりますね
濃厚というか、暖色系の録音が不思議な安心感を伴います

第1楽章の開始は、第3番《英雄》の先には何が残っているのか
それを模索しているようにも聴こえます
普通は「もう何も残ってないよなぁ」と思うんでしょうけどね
私が一番驚異的と思うのは、第2楽章の最初の主題の伴奏で
何か弦がスキップするような感じが非常に新しいというか
聴楽してすぐわかるような特徴はないにしても
「!?」と思うような新機軸が感じられます

と考えると、愛称付きの交響曲と同列の聴楽向きではないですね
全体的な激情とか大らかさとかを楽しむというよりは
細部に何らかの発展を予見するような音楽というのかな
密やかな愉しみに類すると思います

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