戦争終結に寄せる賛歌  Op. 105   プロコフィエフ

やや大人しくなったとされる後期の作風ですが
やはり、こうして時々はブチかましてくれるのでした


ProkofievSym5Jurowski.jpg

Prokofiev (1891-1953)
Ode to the End of the War Op. 105
Russian National Orchestra
Vladimir Jurowski
Pentatone Classics PTC 5186 083 (2007)

伝記を読んだり、作品表を見たりすると必ず目に留まる作品ですね
日本語に訳した時のタイトルがまず印象的なのと
(声楽は入りません。「終戦頌歌」という記述も見かけたことがあります)
次に楽器編成ハープ×8、ピアノ×4、大規模な吹奏楽、打楽器群、コントラバス×6…
1945年の第2次大戦終結という、一種異様な雰囲気の中
その稀な機会に対して、プロコフィエフの創作意欲も異様な展開か?

Harlow Robinson の伝記にも特に目を引く記述はないのが残念ですが
当時プロコフィエフは既に重病の身で、日常生活も禁止事項だらけ
頭の中で作曲をした作品として、これが出て来ます
「まともに書けないし、医者はあーだこーだ言ってけしからん」
「よろしい。頭の中で聴衆を圧倒するような音楽を書いてみせよう」
非常に「らしい」挑戦的な気構え!万年青年兼麒麟児セルゲイの面目躍如☆
彼はそんな風に考えたのではないでしょうか。この曲の大まかな構成に関しては
プロコ自身がラジオを通じて喋っているようです
実際に規格外れの曲ですから、滅多に演奏されていません
(やっと1969年に出版されてはいる)

私はこの曲の日本初演を聴楽しました
「管楽器シリーズ2」(13/02/2005 @東京藝術大学奏楽堂)
東京藝術大学教員、卒業生及び在校生による吹奏楽団

いやもう最初から、最後に置かれたOp. 105の音が鳴り出す瞬間が待ち遠しく
(すいません、他の曲の記憶は残っていません。許してね)
奏楽堂自体が結構規模の大きいホールですが
ずらりと並んだハープの金色がいまだに印象に残ります

鳴り出した音は、とにかく重い!
Rozhdestvensky (ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー 1931-)盤の録音に比べると
テンポはかなりゆっくり目に取り、管楽器の音がホールで飽和状態
超巨大な重機が作動するような迫力にいきなり圧倒されました
おそらく、実際にはこの時のようなテンポでないと
指揮側でも統率が困難なのではと感じました

実は、この速度こそ、私にこの曲の魅力を初めて感じさせてくれたと思うのです
ロジェヴェン盤、プロの楽隊が鳴らしているのですから、テンポが速いのは当然ですが
ちょっと性急な気がして、管楽器の豊穣な響きというのかな
それらの味わう時間が、ちびっと足りないような気がしています
(貴重ですが、今となっては、いかにも古くなったなと感じる)

藝大関係者はもしかしたら「何でこんな曲を」とか思ったかも知れません(苦笑)
(でも、もしかしたら、学習者や研究者の意欲をかき立てたかも知れない)
中間部の楽想は、革命20周年カンタータ Op. 74の第9楽章のもの
緩やかなテンポだと言っても、冒頭の緊張感が継続していて一安心
少し鄙びたような呑気な感じの木管合奏が実に暖かくて、いい!

冒頭部が回帰して全合奏で、分厚い響きで会場の空気を塗りつぶして行きます
スキタイ組曲の終わりみたいに、会場の空気が音符で充満して行くのがわかる
「スキタイ」が中高音の密集で圧倒するのとは今回は違い
重く低く熱い音がホールを圧して行きます。最終の音の残響は10秒近く感じましたよ

今回紹介盤の指揮者Jurowski (ヴラジミール・ユロウスキ 1972-)は
cpoでバレエの熱演をしてくれたMikhail (ミハイル 1945-)の息子
ちなみにMikhail は、Rozhdestvensky の弟子です
いやぁ、21世紀の録音技術が見事にこの曲を捉えています
設定されたテンポも、藝大実演の記憶を思い出させてくれる重戦車風
この曲の独特な音響のうねりを上手く堪能させてくれるんですよ

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