名こそ惜しけれ   ハチャトゥリアン

なぜ、この音楽を聴楽すると熱くなるのか考えてみると…

KhachaturianKarabitts.jpg

Khachaturian (1903-1978)
Dance of the Gaditanian Maindens and Victory of Spartacus
(from the Ballet "Spartacus")
Bournemouth Symphony Orchestra
Kirill Karabits
ONYX 4063 (2010)

それほど多くはない写真等を見て思い出すのは
かつて地上波の日曜洋画劇場で何度も見た映画《ベン・ハー》
しかし今回のバレエは、輝かしくも静かに終わるBHとは違うようです

上記の曲目タイトルにもあるように
かつての平和を奪われたスパルタクスは敵に勝利するものの
逆襲を受けて命を奪われる悲劇が待っているようです
(キューブリック監督の映画には小さな救いがあるようですが)
ただ、バレエはそこに主眼が置かれているのでもないようで
「何かに向けて立ち上がる力強さ」にあると推測しています
実際にバレエの舞台を見た人たちのレビューを読んでも
何となく雰囲気は伝わって来て、こちらも熱くなって来ますね

Aram Khachaturian (アラム・ハチャトゥリアン)の音楽にも
勿論、その熱さは思い切り詰まっています
たまたまこの側面でこの作曲家は語られることが多いのですが
だからこそ、正にそこを語りたくなって来るというもの

今回紹介の盤は、気鋭のKarabits (キリル・カラビッツ 1976-)の指揮
大体この年代の線が、まだ若いのにソコソコのポストに就いていますね
盤を聴楽した限りでは、音楽自体が激熱であるものの
結構整然と進めているのではないかと思われます
やはり上に行く人というのは、曲のキャラクターに関係なく
一定の水準において安定して全体を統御する人に限られるのでしょうね

曲としての初聴楽は、Jarvi 大人のChandos盤でした
今回採り上げる曲も、当時最も印象に残った箇所に当たります
劇全体の悲劇性とかを別にして
主人公スパルタクスの世界はこの曲に凝縮されていると感じています

まず最も印象的だったのはこの曲の冒頭の箇所
もともと女性ダンサーの踊りの部分のようですが
私としては、少しずつ宿敵ローマの執政官クラッススを倒そうと
少しずつ目標に接近し、ついに機会は訪れたという
ただ一度の好機にあたってのスパルタクスの静かな気概を感じます

以後、いかにもハチャトゥリアンな旋律が、ラヴェルのボレロのように
てか、構造としてはボレロそのものなんでしょうけど
少しずつ趣を変えながら次第に盛り上がって行きます
ここは作曲者一流のテンションのかかった音が時折置かれていて
いやがうえにも緊張感を高めて行く…

Tempoが一気に速まって、以降は怒涛の攻めになりますが
ここで管弦楽をツンのめらせないのが指揮者の役割なんでしょう
実に上手くまとめていると思うのです
打楽器(特にシンバルと大太鼓)が印象的で
なかなかに心地よいプレッシャーを感じる
録音はとかく目立ちがちな金管楽器を強調するというよりは
全体の轟然たる響きを、けばけばしくさせずに捉えているようです
目の前で聴楽していなくても、とにかく身体が自然に動きそうになる

高潮する音楽の中でも、旋律自体が微妙な翳りを帯びているので
どことなく、勝ち目はないかも知れないが、「名こそ惜しけれ」というのか
己の大事にしている気持ちのために突撃する者どもの気分が感じられて
単調どころか、どこか重厚なものさえ感じさせてくれるのでした

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