大気と溶け合う音響   ベルク

聴楽の楽しみは、別に旋律やリズムだけでなく
音響に身を浸すことに直進することがあってもいいでしょう


BergMDG.jpg

Alban Berg (1885-1935)
Piano Sonata Op. 1 (1907/09)
Steffen Schleiermacher (piano)
MD+G 613 1475-2 (2006)

最近になって、以前関心もなかった作曲家
その音楽について、「いいかも」なんて思う時もあります
Alban Berg (アルバン・ベルク) もその一人

最初の印象としては「シェーンベルクとかの辺り」
という実に薄ぼんやりな感じでしたね…
伴奏の上に旋律が載る。美しい旋律、素晴らしい迫力
様々な作曲家の数多くの大名曲に感激しまくる時が続きます

その素晴らしさにすら、飽きて来ることがあります
何か純粋に響きの中に身体を浸してみたいような気持でしょうか
こういう時にJ.S.Bachが出てくることもあるのですが
無駄を徹底的に削いだ世界が、苦しいこともあります

どこからともなくやって来て
またどこかへ少しずつ霞んで行くような瞬間が欲しい
全てがそのような音響ではありませんが
(もしかしたら、意外に少ないかも知れない)
それらを無意識に求めていて遭遇したのがベルクでしたね

ピアノソナタは、以前何度か聴楽したことのある曲でしたが
「ふ~ん、なるほどね。じゃ次…」みたいな処理をされていました
直接にこの曲を意識する動機になったのは
実はClassicalではなく、Jazzの即興でした

ECM等で、様々な奏者のソロを聴楽していて
「時間を奏でる」ということの贅沢を知りましたが
「その源流は、ここかな」と思ったのがこのベルクの曲なんですね

Steffen Schleiermacher (シュテファン・シュライエルマッヒャー, 1960-)
の演奏時間は、12:28と、比較的たっぷりした感じで弾いています
このことが大気の中に音楽を溶け込ませるような錯覚
これをさせてくれる気がするんですね
梅雨の時期に、短い雨上がりの瞬間が時々ありますが
陽が射さなくても、白く明るいあの雰囲気と大気
これを10分と少しの間体感させてくれる音楽です

20世紀の初め頃の作曲家は悩んだでしょうね
特に先達と違う響きを模索する人々にとっては…

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