きわめて清澄な、しかしEnergicoな録音です

ZinmanMahlerComplete.jpg
Mahler (1860-1911)
Symphony No. 1 in D-Major
Tonhalle Orchestra Zurich
David Zinman
Sony Music (RCA) 88697727232 CD1 (2006)

1枚ものの方はこちら (RCA 87156)
ZinmanMahlerNo1.jpg

初聴楽の時を正確に記憶してはいないものの
私の聴楽歴中ではかなり早い方ですね。まだ中学生でしたよ
演奏は、Bruno Walter 指揮 Columbia Symphony Orchestra
母親の購入した、CBSソニー交響曲大全集 (LP20枚組39800円!)

しかし、私の親というのは、小遣いは安いし
時々何か買ってくれたという記憶もあまりなかったのですが
(家族内の個人が愉しむ物品の裁可が下るのは稀だった)
こういう、今考えると驚愕の価格のものを
たまにポンと購入してくれる時があるのでした

この20枚組中で、曲がりなりにも馴染めたのは
最初はBeethoven No. 5が唯一の曲で
もう交響曲なんて嫌だ!とか思いました
それでも後になって Saint-Saens No. 3, Mahler No. 1
Sibelius No. 2, Shostakovich No. 5と少しずつですが
何とか4分の1くらいは楽しめたワケです

「もう交響曲は懲り懲り、でも未聴はいかんよ!」
ということで何となく聴楽し始めたMahlerでしたが…
「!?何この引っ張ったままの音は?」
「何か響きとか旋律が古臭くないぞ!」
1888年に原型が作曲されていたこの曲は
約1世紀後の中学生の内耳を刺激し始めたのでした
でもまぁ当時は、「多少いい程度」でした

私の場合は、Mahlerは特定の旋律や
白熱の瞬間だけを追求している間は特に関心を持てませんでした
しかし、所持する装置が、廉価ではあるものの
少しずつレベルが上昇して行く内に、立場が強くなって来た人です
その分、CDラジカセ程度で聴楽していた頃の盤
Abbado盤 (Chicago, Berliner 両方)とかには申し訳ない気もするんです

じっと耳を澄まして、聴こえて来る音響を考えるというか、堪能する…
第1番について、子供の頃とは比較不可能な衝撃を受けたのは
3年前に聴楽したBoulez盤(DG)でしたね

Boulez盤は、2009年にStravinskyとBartokのセットが出た段階で
Mahlerもいずれ出るだろうと思い、全集の方は待っているのですね
で、なぜ今回のZinman (ジンマン)盤かというと
どこかのレビューで「Boulezに通じる」という記述を見たからで
たしかにBoulezの録音は最初のものが既に17年も前になることから
最新の音響記録技術のカケラだけでも知りたくての購入です

とにかく聴楽…、…、!!!
各所で「優秀録音」と書かれているのを目にしていましたが
私の格安DENON PMA-390AE, DCD-755AE上においても
物凄い音がして来ました。それは一気呵成の迫力とは違います
曲が演奏されているホール全体としての音響というのか
音の塊が自分の方に向かって来る
そんな空気の圧力を感じることが可能だったのです
(あくまで私にとっては、ということです)

tempo的には、指揮者の私的解釈先行による揺さぶりは全くなくて
総譜に楽団員をついて行かせたら、非常に自然な「見得」が現出した
そんな気にさせる演奏です
加えて、今回この曲で、大太鼓の存在感が楽しめました
私はこの楽器の用法が特徴であるProkofievの大ファンなワケですが
「プロコの曲じゃないのか」と思いそうになるくらい
この楽器が目立って聴こえました(私には)

低音楽器や、金管楽器の直截な強さに支えられた「迫力」とは別の
全てを微妙な平衡で溶け合うように組んだ上での「迫力」でしょうね
ホール自体だって楽器だ、という意識はなかなか持てないものですが
これは、その意識を私に持たせたのですね
久しぶりに自然に大拍手してしまいましたよ

盤の最終トラックは交響曲の体裁では削除された「花の章」です
実は私はこれを初聴楽だったのですが、今から130年も前に
20代のMahlerは既に自分の感覚を音楽で表す才能が溢れていたんですね
trumpetが何か桃源郷に連れて行ってくれるような
CDとしては、とても良いアンコールのようでしたね

コメント 2

quietplace  2011, 06. 14 (Tue) 20:56

染さんへ

Classicalを聴楽して行く趣味の楽しみの一つには
誰かが書いたものを読んだりして、新たな関心を持つことですね

私はも多くのそんな「聴いてみたくなる」文章を読んでここまで来ました

編集 | 返信 |  

染  2011, 06. 14 (Tue) 18:36

聴いてみたくなる…そういう表現が好きです。

編集 | 返信 |  

新着記事一覧