ダンテを読んでを買って聴いて書いて   リスト

一聴、さすがだなぁと…☆

LisztLortieDante.jpg

リスト Franz Liszt (1811-1886)
《巡礼の年》第2年「イタリア」より第7曲
《ダンテを読みて》 ソナタ風幻想曲
Annees de Pelerinage - Deuxieme Annee : Italie S161
"Apres une lecture du Dante" Fantasia quasi sonata
ルイス・ロルティ Louis Lortie (1959-)
シャンドス Chandos CHAN 10662 (2) (2010)

先日、中古店にて未開封盤を1028円で購入しました
時々、まぁ偶然なんでしょうけど
お店で「これがあったらなぁ」と思う盤が目の前にあったりして
仕事の疲れも吹き飛んだりしますが
やはり「発見の瞬間」には脳内物質が発生することによるのかな?
大体は不発なことの多い中古店行幸なんですが
このようなラッキーヒットがあるので、やめられん☆

ロルティのピアノを聴楽するのは初めてです
今回この曲を聴楽しただけですが「むっちゃ上手い」なぁ☆
80年代の技巧的な録音にコアなファンが集まっているようですが
最近、またリバイバルして来た印象の人です
技巧云々は無問題、弾いているピアノの響きに注耳です

ピアノはスタインウェイではなく、ファツィオーリを弾いているのですが
いや、独特な音色のピアノですね…気に入った!
S社製のキラキラ感はないみたいですが
何とも言えない「くぐもった感じ」に☆☆☆
不明瞭というのではなく、ほの暗い感じというのか
少し離れた場所でビリヤードの球が静かにぶつかり合うような音!?

ロルティの演奏テンポは、結構ゆっくりした方ですね (17:14)
ラ・サール (Naive 16:57) よりもゆっくりした流れがあります
S社製の、鋭く聴覚に切り込んで来るのとは様相が異なるような
微妙な響きの階調は、速めよりも、ゆっくり目の方が合うのかも…

ファツィオーリの特性については、何も知らないのですが
いちいち調べて細かく知るよりも、その「美点」を堪能すること
それだけでもとても気分がよいですね。よい☆
録音に際して、このピアノを採る人がいるのも
わかる気がするんですね

しかし、この曲を聴楽するといろいろなことを考えます
ロルティの演奏は、私的には「何でそう弾くんだよ?」みたいな感じが
聴楽中、全くと言っていいほどしませんでした
音楽の流れを制御できない速過ぎ演奏の興醒め感とも無縁
(こういう演奏が意外に多いような気がする)
アゴーギグや、音の強弱に関しては
とにかく「ファツィオーリを使いこなしている感」が伝わります

久々のロ短調ソナタ聴楽   リスト

どんなきっかけで新しい奏者の聴楽機会が来るか、わからないものですね
Classical 聴楽趣味の楽しみ、醍醐味の一つです


GvetadzeLiszt.jpg

リスト Franz Liszt (1811-1886)
ピアノソナタ ロ短調 Sonata in B minor
ニノ・グヴェターゼ (ピアノ) Nino Gvetadze (piano, 1981-)
オーキッド・クラシックス Orchid Classics ORC 100017 (2011)

今回の盤、狙っていた購入したものではありません
このレーベルには、2013年エリザベートの覇者である
ボリス・ギルトブルク Boris Giltburg (1984-)が録音していて
(以前EMIからCDを出していたがほぼ全く注目されなかった)
彼のプロコ戦争ソナタのCDを試聴して気になっていたところ
中古屋さんで同レーベルから出ている未開封盤を発見
試しに聴楽してみようというのが始まりです

ニノさんは、結構実績があるようですね。綺麗なHP もあります
以前、彼女のラフマニノフ (Etcetera) を聴楽したことがありましたが
イマイチ曲全体を統御するのに手こずっている感があり
(いい感じで進めていても、一瞬テンポが走るような時がある)
そこに来てリストのソナタという大曲
ちょい心配な面もありましたが、アルバムの構成が魅力的
(リストのオリジナルと編曲もので固めている)
ということもあり、「とにかく聴楽してみよう」

今までの聴楽体験だと、この曲は開始後最初の大クライマックス
grandiosoに来る前まででほぼ印象が決定的になってしまいますね
ここで、極端な振幅やハッタリをかましているようだと
わが庵のCDラックのメンバーに入れません
この曲は全体がシームレスに構成されているのですから
一つの有機体として成立するような自然な流れを構築して欲しいんです
ここがクリア出来るということは、既に「相当に練られている」ということ
以後は安心して聴楽が可能なんです
その点、ニノさんの演奏には「感心してしまった」と表現させて下さい

強弱のつけ方も念入りなんですが
この辺り、今後更に洗練が可能だと思います、ということは
現時点でもかなりの出来ということで
実は、他HPでそれほど高くない評価を読んでしまっていたので
あまり期待せずにヘッドセットを装着したのですが
聴楽が進むにつれて、どんどん聴覚が覚醒し始めてしまいました

「上手い、最高」という言葉は、無粋だな…
聴楽していて「あぁ、いいな…」という感じなんですよ☆

録音は、煌びやかな高音を抑制しているような
いわゆる「中央のC」よりやや低めの音域を中心に据えている感じで
輝かしいというよりも、落着きを伴った響きが気に入っています

フランツ先生が楽しげに弾く情景   リスト

リストの協奏曲を、初めて楽しんだ気がします

LaSalleLisztConcerto.jpg

リスト Franz Liszt (1811-1886)
ピアノ協奏曲第1番変ホ長調 Piano Concerto No. 1 in E flat major S.124
リーズ・ド・ラ・サール (ピアノ) Lise de la Salle (1988-)
グルベンキアン管弦楽団 Lisbon Gulbenkian Foundation Orchestra
ローレンス・フォスター (指揮) Lawrence Foster (1941-)
ナイーヴ Naive V5053 (2006)

そういえば、リストのピアノ協奏曲って、あまり聴楽しては来ませんでしたね
理由は、何なんでしょうか、強いて言うと「短い」というのがあるかも…
今回の演奏は(5:43/5:23/4:08/4:10//19:24)いうもので
比較的ゆっくりとした部類に入るんでしょうか
20分をかけている録音って、ちょっと記憶にないですけどね

他の浪漫派作曲家たちの傑作協奏曲と比べても
短いし、雰囲気もこの曲だけが異なるようです
リスト流のキラキラした感じは、勿論あるんですが
独奏曲の力の込め方とは、ちょっと違うと感じます

自分で言うのもなんですが、今回の聴楽は
とても気分の良いものでしたね
何だろう、あまり短い曲という感じがしなかったんですよ

これは、ラ・サール (録音時18才!) のテンポ保持の賜物だと思うんですが
彼女のスタイルとでも言うべきか、どこかを特に強調して
聴かせ倒すというのではなく
もう奏でる全パッセージにおいて、音符と音符の間に
もう殆ど感知できるギリギリくらいの時間を空けているというか
部分的に聴楽すると、他の奏者との差は全く感じないのですが
全曲を通した時に、初めてその独自の「ゆったり感」が出てくる
そんな気分になるんですね

ラ・サール自身のトレーニングの成果は当然のこととして
彼女を教えた先生も凄いな、とか思いますよ

ピアノの音は、柔らかい感じで捉えられていて
(曲冒頭の最初の打鍵がソフトで「おっ!」と思いました)
今までこの曲に私的について回って来ていた印象である
「落着きのなさ」を取り去る要因にもなっているようです

それに、あまり性急だと、この曲の良さってわからないんじゃないかな
リストは、独奏曲に比べて、「うわ~超うまい☆」感を抑え目のこの曲で
何を展開したかったのでしょうね
初演(1855年)の奏者はリスト自身だったんですが
彼は「浪漫派っぽく苦悩を背負って青筋立てて」ガンガン攻めるよりは
シンプルに「気分良く鳴らしたい」と思っていただけかもね
でもって、それが「イイ☆」んじゃないかと…

彼を描いたカリカチュアで、実に気持ち良さげにピアノを弾いているのがありますが
ああいうのって、こちらは見ているだけでも嬉しくなるんですよ

不思議な「軽み」の編曲   リスト

とりあえず白状しておきますと
幼少の頃は、後半のフリスカの所からレコードの針を下してました


SinopoliLisztHungary.jpg

リスト Franz Liszt (1811-1886)
ハンガリー狂詩曲第2番 Hungarian Rhapsody No. 2 S244-2
(管弦楽版 Orchestral Version ドップラー編 Franz Doppler 1821-1883)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 Wiener Philharmoniker
ジュゼッペ・シノーポリ Giuseppe Sinopoli (1946-2001)
ドイツ・グラモフォン Deutsche Grammophon 453 444-2 (1996)
(中古:2012年10月、ディスクユニオン神保町にて購入)

この曲には、何種類かの編曲があるみたいですね
今回の盤の冒頭を聴楽して結構当惑してしまいました
だって最初に弦合奏が出ないんですから!
調べてみると、弦開始のはK.Muller=Berghaus版とのこと
(カール・ミュラー=ベルクハウス 1829-1907)
どんな音楽家だったのかは、ちょっと調べてもわかりませんでした

ちなみに、ドップラーは、あの《ハンガリー田園幻想曲》の作曲者です
この曲の作者と知って、やはりこの編曲ありと思いましたよ
冒頭の旋律は、いきなりトランペット・ソロなんですが
(弦を予想していた耳には、ちょっとした衝撃です)
この楽器の音域としては、やや低いというか
輝かしさを特に強調する感じではないのが特徴でしょうか

彼自身がフルート奏者だった点が大きいと思いますが
パッセージにあまり多くの音符を詰め込むことなく
むしろ、原曲中の旋律の主たる要素を抽出したような音の進行になってます
ゴージャス志向のベルクハウス編よりも軽やかな感じがしますね

おそらく大編成のウィーン・フィルなんでしょうけど
どことなく大き目の室内楽っぽい清らかな空気を感じますね
シノーポリも音楽運びで見得をすることを敢えて避けているのか
流れ重視の方向性でやっているように聴こえます
最初は、ちと薄味過ぎないかと思ったのですが
この軽快さが意外にも結構ハマるんです

他にはリストの比較的知られた交響詩が収録されています
(《前奏曲》《オルフェウス》《マゼッパ》の3曲)
ベートーヴェンとドビュッシーの間に位置する管弦楽曲の響きとは
こんな感じのものなのかと思えば、実に貴重な感じもして来ます

音楽のある空間   リスト

私のロ短調ソナタ体験に、また1枚強力盤が登壇しました

VogtLiszt.jpg

リスト Franz Liszt (1811-1886)
ピアノソナタ ロ短調 Piano Sonata in B minor S178
ラルス・フォークト Lars Vogt (1970-)
ベルリン・クラシクス Berlin Classics 0300064BC (2010)

フォークトの演奏を聴楽するのは初めてですが
強く打鍵する所は、本当に強力に聴こえます
ただ、そこには複雑なものが潜んでいるような気がする
鋼線を振動させるには、鍵盤を押している動作がなければ成立しない
そんな単純なことを改めて気づかされるというか…

最初こそ強い音が印象に残りますが
最強音から最弱音までのグラデーションが、何と言うのか
かなり繊細に分割されているという気がしますし
分割の境界線は、これまた微妙に溶け合っています

ジャケットの写真も、何とも微妙な自然の色調の中に佇む奏者のものです
より明白なものなど自然の中には存在せず
実に微妙かつ精妙な色の諧調の中に在るのだ、とでも言わんばかり…

楽曲を自分のものとして自在にコントロールするという感じとも違うかな
このソナタを特に劇的な進行をさせる奏者の人は多いと思いますが
この劇的という感じを取り去った、そんな気分にさせるというのか…
楽譜上で次々と展開される瞬間を純粋に音に置き換える作業を
タッチの極限までの繊細さをもって演出するとでもいうのかなぁ

ここまで根を詰めてピアノを演奏をした場合に
楽器からたなびく全ての音が消えた無音の瞬間も強く意識されるのです
「音が鳴っていない瞬間もまた心地の良いものだ」
と日頃読んだり聞かされたりしても、なかなか実感は難しいでしょうね
でもねぇ、このことを実際に意識せざるを得ませんでしたよ

私は基本的には楽器から発している音を無意識に追っていたのでしょうが
珍しく、その楽器を鳴らしている空間のことも脳裡に留めていたのかな…

ただ今私のCD棚に鎮座している盤は3種類
フランソワ・フレデリック・ギイ Farncois-Frederic Guy (1969-)
Zig-Zag Territoires ZZT110301 (2010, 31:10)
ポール・ルイス Paul Lewis (1973-)
Harmonia Mundi France HMC 901845 (2003, 30:10)
ラルス・フォークト Lars Vogt (1970-)
Berlin Classics 0300064BC (2010, 31:05)
この3人は、全く違う佇まいの演奏を繰り広げているのか、それは否でしょう
しかし、似ているという陳腐な表現を使うのは避けたいんですね


プロフィール

quietplace

Author:quietplace
聴楽記へようこそ!
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