「渾然一体音楽」   フランク

ずばり「そのもの」な曲名で損をしている気がしないでもありませんが
名曲とはそんな所に潜んでいるものなのかも知れませんね


GiuliniFranck.jpg

フランク Cesar Franck (1822-1890)
交響曲 ニ短調 Symphony in D minor (1888)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 Berliner Philharmoniker
カルロ・マリア・ジュリーニ Carlo Maria Giulini (1914-2005)
ドイツ・グラモフォン Deutsche Grammophon 419 605-2 (1986)
(中古:2012年10月、ディスクユニオン吉祥寺にて購入)

新しい録音が少ない印象がある有名曲、そんな認識です
このような事情で、録音はかなり前のものでありながら
私のプレーヤにかかったのがこの盤
ジュリーニは意外にも初の聴楽
私のClassical聴楽は、既に33年目に入っていますが
超有名人での未聴楽がまだまだ多いと改めて思います

聴楽していて、やはりBerlinerの音だと思います
とにかく音が「強い」。うるさいとか、そういうものではなく
かと言って過度に刺激が強いというのでもなく
ただ一言「強い」のですね
録音方針にもよるのでしょうが、「強く、暖かみのある」響きです
舞台の奏者の発する音と、聴楽子である私との間の大気が圧縮される感じ
あくまで「感じ」なんですが、これがベルリンフィルというか…
(ちょっと昔のグラモフォン録音といった趣でしょうか)

演奏時間は(20:23/11:57/12:15//43:35)と、かなりゆっくり目ですね
本で読んで覚えているだけではありますが
指揮者に対して遅めのテンポ運びをする人という印象もあります
しかし幸運にも、このテンポが曲の仕組みをわかり易くしているというか
少ない(おそらく一つの主題、またはその要素)素材が
巧みに展開されていく過程が、透けて見えるようで
とにかく「!次はどうなっているんだ?」という感覚で
最後まで聴楽してしまう訳ですね。ちょっと驚異的だ…
これがジュリーニの「匠」というものなのでしょうか…

第3楽章は特に印象的で、これまでの主題が美しく提示されながら
集約されて行く様を聴楽していて、非常に高い満足感を得られたと感じます
特別変わった楽器も使わずに、弦主体の音響と言いたい誘惑にかられますが
そうとも言い切れない、謎めいた大気を形成している曲のようにも…
管、弦という区別が陳腐に思えるような
純粋に「渾然一体音楽」と言える要素がこの曲にあるような気もします

だとすれば、やはり名人が指揮しないと
魅力が見つけにくい曲なのでしょう
録音がそれほど多くはないのもわかる気がします


オルガン作家のピアノ界殴り込み   フランク

この曲を聴いて「やられた」と思った作曲家は多いだろうなぁ…
ChamayouFranck.jpg
フランク Cesar Franck (1822-1890)
前奏曲、コラールとフーガ Prelude, Choral et Fugue
ベルトラン・シャマユ Bertrand Chamayou (1981-)
ナイーヴ Naive V5208 (2009)

実演を聴楽して好きになった曲の一つです
鵜塚一子 Uzuka Kazuko さんという方のリサイタルでした
(2001年9月21日 津田ホール 日本ショパン協会 第204回例会)
ショパンのソナタ第3番が目当てだったのですが
いきなり最初の曲で来た来た来たぁ~☆
バッハ以降に、バッハに匹敵するワールドがあったとは…!
それくらいこの曲の印象は衝撃的でしたが
その時は、中間部のコラールで、全曲の中心主題が
凄味を持ってこちらに迫って来る緊迫感が今だに強く記憶されています

この曲の録音って、意外にない気がしますけど、どうなんでしょうね…
特に「最新」のものが少ない感じがするなぁ
(検索してもそれほどの数がない)
まとめるのに難度が高い曲という感じは非常に強くする曲ですが
もちっと人気出てもいいと思うんですけどね
キーシン (Evgeny Kissin 1971-) 盤も鮮烈だった以外には
なかなか目に留まりませんでしたが、意外な所から出て来ました
ちなみに、今回の盤は、全てフランクの曲で固めていて
この人の曲の録音の少なさに対する渇きを癒すに十分なものです

曲のタイトルに使われてるいる言葉は
大体はバッハのオルガン曲で馴染みになったようなものですが
バッハの時代からは時間が経過し
何とか先達と一味違うものを、と考えるのが真の芸術家でしょう
でもって時々思うのですが、後世の曲を聴楽する程に
音楽は、型に押し込められるのを逃れることで発展して来ている気がする…

大バッハ以上のガチガチのフーガ、みたいな音楽は出現しなかった
それよりも、より自由に奔放に音の流れを重視するような方向かな
フーガはもう音が溢れそうな勢いで進み
遂に長調の燦然とした輝きに充たされるコーダを聴いて
後戻りは嫌だ、でも、先に何があるのかもわからない
でもとにかく音を繋いで行く、というか
俺はこれで行くと決めたぞ、みたいな…
そんな作曲家の情熱を、この曲には強く感じます
(作曲時62才!40年振りのピアノ曲とのこと)

達人の演奏を聴楽する毎に
いつも声を挙げたくなる曲なんですよ
奏者のシャマユの個性のポイントはと聞かれても
ちょっと何とも決定出来ないんですが
知らない間に圧倒されてしまった、今はそれだけで十分でしょう
(来日もしていて、ブログとか読むと結構ウケているようです)
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