超ハイレベルの「模範演奏」☆   チャイコフスキー

このように、渋目のレーベルから出る定番曲
そんな盤が、大きなインパクトを与える時があるのですな☆


TchaikovskyMelodieZhao.jpg

チャイコフスキー Piotr Ilyitch Tchaikovsky (1840-1893)
ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23 Piano Cocerto No.1 in B-flat minor op.23 (1875)
メロディ・チャオ Melodie Zhao (1994-)
スイス・ロマンド管弦楽団 Orchestre De La Suisse Romande
ミハイル・ユロウスキ Michail Jurowski (1945-)
クラーヴェス Claves 50-1603 (2013)

さて、奏者のメロディ嬢なんですが、中国生まれの中国人で主にスイス育ち
Wikipediaによると、最初の音楽教育は北京で、13才の時からスイスにという感じ
Chinese Characterで書くと《趙梅笛》なんだそうだ
でもってメロディ、最初はもしかしてキラキラネーム?という気もしましたが
あの成龍がジャッキー・チェンということもあるし、まぁどうでもいいや☆

でもって早速聴楽、でもって「メロディ嬢、チャイコンに挑戦」
という感じでは全くないですね。もう余裕の弾きこなしです
特徴があるのかと聞かれると、特にはっきりとした所はない感じですが
「全てが高度な水準で維持されている」としか言いようがない感じです

技術的に苦しい箇所は全く聴かれず
「個性」を「極端なテンポ変換」や「突然の強打」のように
わかり易い点でこちらの耳に訴えることもない
ちょっとお姉さん年代のユジャ・ワンとも異なる行き方ですね

あらゆる点で「模範演奏」なんですよ
(しかし、ノリは素晴らしいんですよ。いやはや☆)
驚異的だと思うのは「つまらなくない」模範演奏ということ
普通に弾いている中でも、私のような素人聴楽子の理解を超えた辺りに
プロフェッショナルとしての工夫があるんでしょうね
(大きな音の箇所の打鍵が実に美しい)
個性を「極端な解釈」によって表出しない方向性というのかなぁ…☆
HPを見に行ったのですが、作曲もしているとのこと
ピアノソナタがあるようですが、聴楽してみたいものです

MelodieZhao.jpg

彼女のような個性を前にして
日本の若い演奏家志願者は、どう対抗して行くのか
楽しみでもあります、本当に彼女は高いハードルですよ!

バックは、前回投稿のアラベラさんと同じくスイス・ロマンド管弦楽団
指揮はユロフスキですが、親父さんの方です
(cpoにプロコフィエフのまとまった録音があり、私のアイドルの一人です)
一時期腰の怪我かなんかで休んでいて心配していたのですが
ここでひとまず安心ということです
メロディ嬢の伴奏も、もう「ベテラン力」で余裕綽々です☆

ブレない彼女のパフォーマンス   チャイコフスキー

最近、聴楽し始めは「?」な感じでも、次第に惹き込まれて行く
(前回投稿のオロスコ-エストラーダの《春の祭典》が正にそうだった)
そんな幸運な聴楽機会を持てて嬉しいんですね


TchaikovskySteinbacher35.jpg

チャイコフスキー Peter Ilyich Tchaikovsky (1840-1893)
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
Concerto for Violin and Orchestra in D major Op.35 (1878)
アラベラ・シュタインバッハー Arabella Steinbacher (1981-)
スイス・ロマンド管弦楽団 Orchestre de la Suisse Romande
シャルル・デュトワ Charles Dutoit (1936-)
ペンタトーン Pentatone PTC5186 504 (2014)

しかし、アラベラさんは「ブレない」人だなと、つくづく思います
何がって「曲を演奏する段取り」ですよ。とにかく「ここは歌う」という箇所は
本当に「時間一杯」に「たくさん」聴かせてくれるんです
で、そこはテンポが「遅い」という訳ではないんですね
元々、曲全体のテンポをゆったり目にとり
「コブシ」をあまり効かせずに「大らかに」行くというのかなぁ…
澄み渡った趣がどこまでも続くというのでしょうか

演奏時間ですが、(20:15/7:02/10:46//38:03)と、結構ゆっくり目です
もしかしたら、最も遅い演奏の方に属するのかな
私の記憶では、37分台というのも未体験だったかも知れません
(印象としては、ムターの88年DG録音が近いと思う)
この人の、特に協奏曲の演奏信条は基本的にこれですね

歌う箇所と、疾走する箇所というのを見事なまでに対照させてもいます
(曲の大枠をインテンポでというのとはちょっとというか、かなり違う)
楽想間を連結するようなパッセージを、結構な速度で弾いていたりしますが
その対比が不自然だったり、下品に陥らない。何故だろう?

聴楽し始めて「あぁこの人流だなぁ」と、ついて行くうちに
少しずつ、でもってどんどん惹き込まれて行くという「表現」が丁度いい☆

一人の演奏家が考えに考え抜いた末の組み立てなんでしょうね
作曲家に対する敬意と、自分の技量に対する自信というか
それらをギリギリのところで擦り合わせて行く作業は
こりゃ芸術家本人にしかわからない苦心と喜びがあるんだろうなぁ☆
正に「限られた時間で自分の納得の行く究極の部分まで行く」か!

管弦楽の指揮はデュトワです。もうこの曲を伴奏するのにはうってつけの人ですね!
アラベラワールドにとことんつき合って、形にして行く技量はさすがに名人芸でしょう
しかしデュトワは久しぶりに聴楽しましたよ、まだまだ頑張って欲しいです

アラベラさんには、あまりガツガツすることなく
納得の行く状態で、気に入った音楽の録音を時々はして欲しいなぁと思ったのでした☆

久々の第5交響曲  チャイコフスキー

こういうのを地味ながらいい仕事というのでしょうか☆

OzawaTchaiko5DG.jpg

チャイコフスキー Peter Tchiakovsky (1840-1893)
交響曲第5番ホ短調作品64 Symphony No.5 in E minor Op.64
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 Berliner Philharmoniker
小澤征爾 Seiji Ozawa (1935-)
ドイツ・グラモフォン Deutsche Grammphon 429 751-2 (1989)

まず書き出しとしては「こんな盤があったの?」でしょうか
録音は1989年4月と、この楽団にとって微妙な時期
(カラヤン翁の突然の辞任はこの月末)
同月に私の座右盤であるプロコフィエフ交響曲全集も録音開始
アバドさんの音楽監督決定は、1990年ですから、かなり錯綜しています

本来は、プロコとチャイコを並行して製作する予定だったのかも
チャイコの方はおそらく第4~第6という感じになったかな
(第1から第3はカラヤン翁の録音もあるし)
それにしても結構な過密スケジュールの観があります
今回の盤に併録されている『1812年』は1992年の録音で
プロコ全集の最後、第4番改も同じ年に収録となってます

企画として一応全うしたプロコと較べると、チャイコの方はツイてないなぁ
カラヤン絡みのスケジュールの急変が影響しているのかも知れません

第5をまともに聴楽するのは、本当に久々
1988年に聴いたカラヤン指揮Wiener盤以来じゃないかなぁ
第1、第2楽章がまた重厚な曲ですから、普段はあまり出番がないのです

聴楽してわかるのは、プロコと同時期のベルリンフィルだなということ
低音が非常にリアルな感じで自己主張していて
その上に全ての楽器が載っているという趣なんです
チャイコフスキーの曲は、管楽器と弦楽器の絡め方が巧みですから
音の動きを追っているだけでも非常に気分が高揚しますし
小澤さんの統御も実にキマッているというか
特に第2楽章での緩急に対応するリズム感は流石だなぁと思う

第4の録音は以前からその存在を知っていましたが
第5は、つい最近まで気づかなくて
カラヤンVpoの一気呵成な印象の非常に強い曲でしたが
またここで、ちょっと別の感覚が記憶に盛り込まれた感じです☆

ちなみに、おまけ収録の《1812年》がまた傑作です☆
大詰めVivaceのビクトリーランがたまりません!

品格ある全開の独奏☆   チャイコフスキー

ヘッドフォン装着による、久々の流し聴きでない聴楽です

MatsuevTchaikovsky12.jpg

チャイコフスキー Piotor Ilyich Tchikovsky (1840-1893)
ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 Piano Concerto No 1 in B-flat minor Op. 23
デニス・マツーエフ (ピアノ) Denis Matsuev (1975-)
マリインスキー劇場管弦楽団 The Orchestra of the Mariinsky Theatre
ワレリー・ゲルギエフ Valery Gergiev (1953-)
マリインスキー Mariinsky MAR0548 (2013)

マツーエフを聴楽するのって、意外にも初めてなんですよ
彼の録音評はその「馬力」を強調しているものが多い気がしますが
確かに馬力が感じられ、それもかなりハイレベルでしょうし
独特のオーラも強く感じるのですよ
さすがに1998年のチャイコン覇者ということはあります

カデンツァ部に限らず、ピアノに主導権がある箇所は
音の圧力を強く感じるような迫真力があり
会場にいたら、思わず身を乗り出したくなるような感じかな

決して速度で圧倒するような感じはなく
曲を愉しむという面の他、「人間対楽器」という印象もある
楽器の方も、デニスの打鍵力にとことん付き合うというか
結果、これだけの音量と迫力、可能な限りの統制された前のめり
(マツーエフはかなり大柄な演奏家ですが)

瞬間の感興に流され突っ走るのではない
品のなさに陥らないだけの修練の蓄積があるように感じられ
あぁ、これこそ職業音楽家の力量なんだなと思わされるのです

ゲルギエフ指揮の伴奏も
マツーエフの「ピアノ力」を削がない効果的なサポート
ピアノ対オーケストラではない
ピアノをとにかく前面に持ち上げる方向性かな

演奏時間的には、第1楽章はたっぷりと響かせ
第2、第3楽章は速度で魅せるという趣です
後半2つの楽章は、ライブのアルゲリッチ盤 (DG) と同じくらい速く
セッションでここまでやるのかと改めて驚きを得るのです

カラヤン大爆走 PART 2   チャイコフスキー

カラヤンのチャイコは、70年代のものは初聴楽になります

KarajanTchiko4-1970s.jpg Karajan1970s.jpg

チャイコフスキー Peter Tchaikovsky (1840-1893)
交響曲第4番ヘ短調 作品36 Symphony No. 4 in F minor, op. 36 (1878)
(18:55/09:10/05:48/08:32//42:25)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 Berliner Philharmoniker
ヘルベルト・フォン・カラヤン Herbert von Karajan (1908-1989)
ドイツ・グラモフォン Deutsche Grammophon 00289 479 1641 (1976)
(CD 52 from Karajan 1970s)

チャイコフスキーは、肖像画の印象ですけど
実際よりも昔の時代の人という感じがするんですよね
とは言っても、この曲の初演は明治11年と
もう既に明治も10年が過ぎ、西南戦争も終わってますから
このことを考えると、俄に新しい時代の音楽という気がして来ます
それに、作曲当時の彼はまだアラフォーよりも少し前の年齢です

以前、Classical 好き聴楽子が集まって雑談する機会が何度かありました
或る時、「チャイコの第4と第5ではどちらが好きか」という話題になり
私は当時「勿論第4ですよ」と答え、それは今でも変わりません

個人的な印象ですが、第5派の人は
他の作曲家の場合でも、重厚壮大な音楽を好む感じがしましたね
私のような聴楽子は、どうでしょう…?

6曲の交響曲の中では、最もセンセーショナルな開始☆
カラヤンのなかなかに見事な統率で、大き目の音でも
耳が痛くなったりはしませんが、精緻且つ思い切りの良い先制パンチです
何かですね、曲全体が粛々と進むのに、物凄くドキドキするんですよ
爆発的な音響と、やや短いながらも訪れる静けさとの対比が
極端または不自然ではなく、当然のごとく膨張と収縮を繰り返す
これこそ「賜物」ではないでしょうか。勿論、カラヤンのトレーニングのね☆

録音当時は、LP1枚の両面にこの曲が収録されていました
今考えると、何とも贅沢な感じですが、当時はこれが当たり前でしたね
この演奏時間だと、今ではもう1曲何か収録する方が当然の気がしますけど
一曲に賭ける「もの」が現在とは、どこか趣を異にする気もします
それくらいの凝縮された「もの」も感じ取ったつもりでいます

第4楽章は、実に見通しの良い簡素な構成に
魅力的なパッセージが散りばめられているのですが
これこそ、カラヤンベルリンの独壇場でしょう☆
先発した楽器の上に、どんどん他の楽器が層をなして行く様を、ただ楽しむ
個人的には、アクセル全開の開始主題と、民謡風の主題の間に挟まる
正に「全合奏で大爆走」な経過句が大好きで
チャイコフスキーのアレグロにおける「躊躇のなさ」が堪能出来ます

これら3つの要素が絶妙に絡み合ったまま突入する最後の大詰め☆
微妙なハーモニーの連続の上に、バンバン加速して行くベルリンフィル
もうですね、自然と笑いがこみ上げて来つつ
すっ飛ぶようなコーダがなだれ込んで来ます
時々は「うわ~~!ぎゃ~~☆」な気分に浸るのも「よろしい」ですな
プロフィール

quietplace

Author:quietplace
聴楽記へようこそ!
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