熱情ソナタ三題   ベートーヴェン

このソナタの聴楽は実に久しぶり
初聴楽が目の前の実演だったため
物凄い衝撃が、今でも残ります☆

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ベートーヴェン Ludwig van Beethoven (1770-1827)
ピアノソナタ第23番ヘ短調《熱情》 Piano Sonata No.23 in F minor “Appassionata”
ジン・ジュー (ピアノ) Jin Ju (piano)
MD+G 947 1698-6 (SACD, 2011)

冴えた音が響き渡る
何やら空気の透明度がわかるような私好みの音
持続する澄んだ大気の中を
現代の工芸品であるピアノの精妙なパッセージが流れます
強奏時にも音は濁らず
特に第2楽章の各変奏での音の表情づけが静かな圧巻かな


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フランソワ-フレデリック ギイ (ピアノ)  François-Frédéric Guy (piano)
ジクザク・テリトワール ZT 333 (2011)

ライブ録音。冒頭の和音連打から完全に曲の世界に没入というか
随所で「ダダダーン」と歌っている声が聞こえます
整然とというよりは、演奏時点での感興に思い切り浸る
暖かみのある音響が突き進みます


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ジャン-エフラム・バウゼ (ピアノ) Jean-Efflam Bavouzet (piano)
シャンドス Chandos CHAN 10925 (2014)

良い意味で上手く表現する言葉が見つけにくい
特徴がないようで、ある。両端楽章での打鍵はとても強いが乱暴ではない。
ポーカーフェイスを装いつつ、何か熱い巨大なものを感じる☆

先輩大作曲家が透けて見える☆  ベートーヴェン

前回は「田園」ネタだったので、今回はその一つ前の作品で☆

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ベートーヴェン Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第5番ハ短調 作品67《運命》 Symphony No.5 in C minor Op.67 “Fate”
ネザーランド交響楽団 The Netherlands Symphony Orchestra
ヤン・ヴィレム・ド・フリエンド (指揮) Jan Willem de Vriend (1962-)
チャレンジ・クラシクス Challenge Classics CC72550 (6SACDs)

勿論、このCDセットに“Fate”なんてどこにも書いてありませんでしたが
公文書じゃあるまいし、こういう風にしといた方が面白いかなと☆
(アーノンクールの全集には書いてあった)
音友社の名曲解説全集には「運命」の有名な逸話がありますね
He told that fate knocked the door as follows. BangBangBangBaaaaaaaang. (適当)
さすがに最近は言わなくなったか

「ならばテンペストを読め」の《テンペスト》の話はどうなのか?
最近はどうしてこの種の話が聴かれないのか
こういう話を集めた本があると面白いんだが…☆

最近は、ピリオド系のベートーヴェンに慣れて来たこともありますが
今回の演奏がとりわけ速いとは感じないですね
(6:36/8:29/4:46/10:01//29:52)
しかし、聴楽して気づかされることといえば
やはりベートーヴェンの生きた時代は
ブラームスやマーラーの時代とは全くかけ離れた
ハイドンやモーツァルトに繋がる頃だったということです

聴いていて、瞬間的には「モーツァルトの曲か?」と思いそうになることもある
弾いているのは紛れもなくベートーヴェンなのに
弾き方を工夫することで彼の曲は
ハイドンやモーツァルトが透けて見えるようになっている
不思議だ…☆

演奏はとにかく機動性を第1にした感じか
スケール云々よりも、きびきびした響きを前面に押し出しています
第2楽章なんかでは「あ、ここでティンパニは叩いてんのか」とか発見も多いです☆

むしろ、こっちの方が「田園」かと☆  ベートーヴェン

指揮のネルソンスは、とても短かった駆け出し時代みたいな感じかな
ここまで有名になるとは驚きです

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ベートーヴェン Ludwig van Beethoven (1770-1827)
ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61 Violin Concerto in D major Op.61
アラベラ・シュタインバッハー (ヴァイオリン) Arabella Steinbacher (1981-)
ケルンWDR交響楽団 WDR Sinfonieorchester Köln
アンドリス・ネルソンス (指揮) Andris Nelsons (1978-)

アラベラさんの演奏様式は、20代の頃に既に完成していたようです
とにかく美音でたっぷりと聴かせてくれるのは、ここでも万全
(かと言って濃厚というのとは違う)
演奏時間も(26:32/10:17/10:59//47:48)と
Anne-Sophie Mutterの演奏に近くなっています

一時、ムターの後継者とされていたようです
(ムターから弓を貰っていたと思う)
幾分遅めのテンポでの演奏は似ていますが、それくらいですかね

この演奏を聴楽すると
「田園」が、こっちの曲の方にふさわしい表題に思えてくる
聴楽頻度でいうと、私は協奏曲の方が圧倒的に多いのですが
交響曲の各楽章についている表題が
むしろ協奏曲の気分を表しているように感じられます

どこまでも長閑な(こっちは嵐もない)田園風景の中
アラベラさんの変にテンポをいじらない音がひたすら流れる☆

激しい部分のある曲ならば、それなりに心の準備をしますが
この曲は、曲頭からそんなことは不要
ふわっとした弦の音がたなびくままに
気持ちよく聴楽が進みますから
とても48分近くかかる演奏時間には思えないのです

カデンツァはクライスラー作曲
近年は、この人のカデンツァをあまり聴かない気がしますが
改めて聴くと、上手く作ったなぁと思います

あ、書いていてふと気づいたのですが
彼女の演奏は、極端な解釈はしていませんが
曲全体が、カデンツァみたいというか
堅苦しい感じのところがないのですね☆

第7を堪能する☆   ベートーヴェン

音の推進力って、こういうことを言うのか☆

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ブリテン Benjamin Britten (1913-1976)
4つの海の間奏曲 Four Sea Interludes
ベートーヴェン Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第7番イ長調 作品92 Symphony No.7 in A major Op.92
ボストン交響楽団 Boston Symphony Orchestra
レナード・バーンスタイン (指揮) Leonard Bernstein (1918-1990)

バーンスタインは、聴楽趣味の上で初めて意識した指揮者でしたね
LPのベートーヴェン第5(NYP)は中学生の頃、本当に何度も聴楽した
そのせいか、この曲はどうしてもこの人のテンポで聴こうとしてしまいます
以降のこの曲の聴楽でも、バーンスタインより速いか遅いか
みたいな感じですよ

亡くなる2か月前のライブの演奏は、やっと先日聴楽しました
この頃だともう引退を公表していたのかな
72才、病気のことがあったとはいえ、やはりまだ早い
彼の前年に亡くなったカラヤンだって、81才だった
今だと81才なんて特別老齢って感じはしないよ

私にとっては、この2人が「ヒストリカル」です
レパートリが微妙に違っていて、2人合わせると
殆どの有名曲が聴けますね

さて、バーンスタインですが
鳴っている音楽を聴楽する限りでは、衰えとかは全く感じられません
私からすると元々「ゆっくり」という印象のある人なんで
晩年の録音にも、あまり抵抗がなくて
「堂々としていてよいじゃないか」なんて思ったりしています

メインのベートーヴェンですが、物凄い説得力を感じる
第1楽章の序奏部分の推移が胸にズンズン来る
主部のリズムの下準備とはいえ、大いに満足だなぁ
この楽章は演奏に16分かけていますね。大演奏だ

各楽章、比較的時間をかけて聴かせてくれるのですが
「時間がかかってるな」という感じがしない、このゆったりしたテンポが
速く演奏されがちな第7の仕組みをよくわからせてくれますよ
第3楽章も、短めの長閑なメロディが壮大な合奏になっていて
思わず微笑ましくなってしまうくらいです

第4楽章も、独特な推進力が楽章全体に漲っています
重量感がハンパなく、各パッセージは
これまた重厚な伴奏に乗りますから
これを繰り返されることの快感を感じるのですな

当然ながらもの凄い拍手です。聴楽前からこの録音に関しては
「遅い」「止まりそうだ」ということが書かれていることを知っていましたが
私は全くそうは思わなかったな
バーンスタインの最後のライブとか、そんな付加情報なんてなくても
いやぁ「いい演奏だぜ」と普通に自然に思うんですよねぇ☆

ブックレットの中の写真に
舞台袖に引き上げるバーンスタインの後ろ姿の写真があるんです
それを見て、やはりグッと来るものがありますよ☆

ラン・ラン氏が淡々と弾く☆   ベートーヴェン

ラン・ランとユンディって年齢同じなんだ☆

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ベートーヴェン Ludwig van Beethoven (1770-1827)
ピアノ協奏曲第4番ト長調 作品58 Concerto for Piano and Orchestra in G major Op.58
ラン・ラン (ピアノ) Lang Lang (1982-)
パリ管弦楽団 Orchestre de Paris
クリストフ・エッシェンバッハ (指揮) Christoph Eschenbach (1940-)
ドイツ・グラモフォン Deutsche Grammophon B0008725-02 (2007)

近頃DGと再び契約したラン・ラン氏の第1期DG時代の録音です
今年に入って彼とキーシン氏がDGと再契約しました
スゲェな、キーシン、ユンディ、ランランとは!それにユジャもいる☆
上手くバランス取って良い録音をして欲しいなと思います

アートワーク方面にも積極的な頃のラン・ランということで
CDジャケットも表裏共に載せておきます
彼の場合面白いのは「やらされている感」がないこと
ポーズなんかも結構積極的にネタ出しをしていたと思うんだけども☆
でもって装丁を眺めつつ、中身も何か奇抜なことを仕掛けて来るのか?
いやいや、肝心の演奏はなかなかに端正
特にジャケットのヘアスタイルとは隔絶しているかな☆

計画的に大きな山場を展開して
聴楽子をノックアウトせしめんとする趣は全くと言っていいくらい「ない」
所々瞬間的に、素晴らしく躍動するメカニックがあるとはいえ
それが前面に出ることもない
局所的なテンポの動きも、パリ管がまた上手く合わせる
(ということはエッシェンバッハが凄腕という)

ラン・ランは今までまともな聴楽機会がなかったのですが
録音時25才くらいだったくせに、この淡々とした感じはなんなのか!?
ピアノの方から管弦楽を煽るようなこともしていないし、その逆もない
こういう長閑な空気を一貫して持続するのはなかなか難しいんじゃないのかなぁ
(曲全体に一貫したリズム感とかは天性のものだろうな)

?と思って2晩続けて聴楽してみましたが、この「中庸」が何とも気持ち良い
若いうちからこんな面白演奏 (思わずのけぞるようなという意味ではない)を
粛々と進めてしまうなんて!
聴楽し終わってジワジワと効果が出てくるような趣なんですが
これは面白いやつが出てきたぞ、と期待したくなるのでした☆
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