薄明に漂うヴァイオリン   ベルク

曲の成立年は1935年で、プロコフィエフの第2協奏曲もこの頃です
音楽史における著名ヴァイオリン協奏曲では、最新の位置でしょうか


BergVnConcerto.jpg

ベルク Alban Berg (1885-1935)
ヴァイオリン協奏曲 Violin Concerto "To the Memory of an Angel"
渡辺玲子 Reiko Watanabe (violin, 1966-)
ドレスデン州立歌劇場管弦楽団 Staatskapelle Dresden
ジュゼッペ・シノーポリ Giuseppe Sinopoli (1946-2001)
テルデック Teldec 0630-18155-2 (1995)

とにかく、開始部分が印象的な曲で
数度に渡って聴楽して来ましたが、ようやく少しわかったような…
独奏が特徴的な上昇と下降を伴うパッセージを繰り返して行く中
平板、無表情な気分から、やや強めのヴィヴラートをかけたり
伴奏オーケストラも、非常に精緻かつ微妙に音量を上げて来たりと
実に細かい仕掛けが充満しているようです

今まで全く積極的な聴楽はして来ませんでしたが
新ウィーン楽派に代表される「現代音楽的なもの」は
おそらくは、楽譜に記されているであろう繊細な指示
そしてそれを再現可能な有能な奏者によって
初めて気づくことが可能なのではないか?
そんな感覚を持ってしまいましたね

「ある天使の思い出に」というのは、副題ではなく献辞だそうですが
(献辞についての詳細は検索お願いします)
これの内包する気分は非常に重要でしょう
よく「標題についてあまり重点を置きすぎてはいけない」と言われますが
この曲と献辞は、不可分のものと感じます
音楽自体は実に美しいものですが
この文言によって、更に際立つというのは間違いありません

調べてみたら、この盤は渡辺さんのソロデビュー録音だそうで
伴奏がシノーポリとシュターツカペレ・ドレスデンというのが凄い
演奏時間は (12:30/16:31//29:01)と実にゆったりとした堂々たるもの
シノーポリの描く広漠たる世界の中、彼女のソロがたなびくのです
端正な渡辺さんのソロが、音楽に上手く載っていると思います

この悠然とした足取りは、この独特の絵の中で
音どうしの繊細微妙なぶつかり合いを、大いに味わわせてくれます
「いっぱい聴かせてもらう」という楽しみが
シノーポリ指揮のCDにはあるんですよ

伴奏は決して激したりする瞬間はありませんが
静かな熱をたたえて、独奏に寄り添う展開で
この「熱」が、諸先輩の名作とは趣の異なる
主題的にはやや掴み所のない謎めいた音楽に
芯を一本通すという、貴重な役割を果たしているような気もしますね

でもって繊細かつ密やかな音の冒険が
最後の独奏の長く伸ばす音に結びつく頃の音響は
少しずつ夜の闇から薄明に空の色が推移するような趣で
こちらの気分も浄化 (これも献辞と結びつくのでしょう) されているようで
気持ちも平らかに、という感じに収束して行きます

大気と溶け合う音響   ベルク

聴楽の楽しみは、別に旋律やリズムだけでなく
音響に身を浸すことに直進することがあってもいいでしょう


BergMDG.jpg

Alban Berg (1885-1935)
Piano Sonata Op. 1 (1907/09)
Steffen Schleiermacher (piano)
MD+G 613 1475-2 (2006)

最近になって、以前関心もなかった作曲家
その音楽について、「いいかも」なんて思う時もあります
Alban Berg (アルバン・ベルク) もその一人

最初の印象としては「シェーンベルクとかの辺り」
という実に薄ぼんやりな感じでしたね…
伴奏の上に旋律が載る。美しい旋律、素晴らしい迫力
様々な作曲家の数多くの大名曲に感激しまくる時が続きます

その素晴らしさにすら、飽きて来ることがあります
何か純粋に響きの中に身体を浸してみたいような気持でしょうか
こういう時にJ.S.Bachが出てくることもあるのですが
無駄を徹底的に削いだ世界が、苦しいこともあります

どこからともなくやって来て
またどこかへ少しずつ霞んで行くような瞬間が欲しい
全てがそのような音響ではありませんが
(もしかしたら、意外に少ないかも知れない)
それらを無意識に求めていて遭遇したのがベルクでしたね

ピアノソナタは、以前何度か聴楽したことのある曲でしたが
「ふ~ん、なるほどね。じゃ次…」みたいな処理をされていました
直接にこの曲を意識する動機になったのは
実はClassicalではなく、Jazzの即興でした

ECM等で、様々な奏者のソロを聴楽していて
「時間を奏でる」ということの贅沢を知りましたが
「その源流は、ここかな」と思ったのがこのベルクの曲なんですね

Steffen Schleiermacher (シュテファン・シュライエルマッヒャー, 1960-)
の演奏時間は、12:28と、比較的たっぷりした感じで弾いています
このことが大気の中に音楽を溶け込ませるような錯覚
これをさせてくれる気がするんですね
梅雨の時期に、短い雨上がりの瞬間が時々ありますが
陽が射さなくても、白く明るいあの雰囲気と大気
これを10分と少しの間体感させてくれる音楽です

20世紀の初め頃の作曲家は悩んだでしょうね
特に先達と違う響きを模索する人々にとっては…
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quietplace

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