北欧に立つ摩天楼   ガーシュウィン

何とはなしに聴楽したCDで
それまでイマイチな曲の印象が変わることがあります


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ガーシュウィン George Gershwin (1898-1937)
ピアノ協奏曲ヘ長調 Piano Concerto in F (1925)
《ラプソディ・イン・ブルー》 "Rhapsody in Blue" (1924)
第2狂詩曲 Second Rhapsody (1931)
《アイ・ガット・リズム》変奏曲 Variations on 'I Got Rhythm' (1934)
フレディ・ケンプ Freddy Kempf (piano 1977-)
ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団 Bergen Philharmonic Orchestra
アンドリュー・リットン Andrew Litton (1959-)
ビス BIS SACD-1940 (2011)

ガーシュウィンのコンチェルトは
近年、フィギュアスケートにも登場したり、意外に耳には触れていますね
競技 (キム・ヨナが使ってた) の方は美味しい箇所をつまんでおりますが
本体は3楽章30分を超える大曲!
作曲者が施した仕掛けは実に多彩なものですが
私にとっては「ちょっと正体不明」曲として長い時間が過ぎていました
意外にもリヒテルさんもレパートリにしていたこの曲
気軽にかけてみたこのCDでとうとうハマりましたよ

このアルバム、スウェーデンのビスが制作
協賛がグリーグ財団、管弦楽がベルゲンフィル
意外に希少と思われるピアノ絡み作品のみの収録
奏者が英国のフレディ・ケンプと、全くアメリカと繋がりがありません
指揮者のリットンのみアメリカ人で、彼が頑張って
ジャケットにエンパイア・ステートビルが聳え立っているとしても
「何かとても奇妙な」アルバムが出来るのではと、最初は思いましたね

が、リットンはBISからジャズピアノのソロも出しているような名手
曲の冒頭から、特に管楽器に彼のこだわりが強烈に出ていますね
作曲者の曲は、以前からいろいろ聴楽して来ましたが
ジャズ的ニュアンスがここまで徹底している録音も珍しいと感じます

リットンの微笑みが見えるような気が…
「この面子でどうするんだと思ったかい?」みたいな、ね☆
トランペット、クラリネットはまぁ当然以上に表情豊かに加えて
フルートとかも「おぉ」な歌い回しを披露しています
アメリカのオーケストラでもここまで徹底するのは簡単じゃないと思いますよ
2003年以来、彼が音楽監督として過ごしているベルゲンフィルをして
初めて出せるような空気でしょう

ケンプのピアノはどこに行ったのか?という点ですが
彼は主役でもなければ、脇役でもないというか
この華やかなガーシュウィン祭の一実行委員みたいな感じですね
どこかウキウキしたようなピアノは彼らしいなぁ☆
楽器の音は暖かみを上手く収録されていると思います

第2狂詩曲は、あまり聴かれない作品で、私も初聴楽です
全編テンションが高く、ちょっとどこにヤマがあるのかわかりにくいかな
場面転換の対比の妙は、憂鬱な狂詩曲に比べると少なくて
一度の聴楽では、記憶に残るのはちと難しい曲でしょう

それと、全4曲は、収録時間の長い順に入っていて
一度に聴楽する場合には気楽な気分になれるのも、うまいと思う
私としては、協奏曲に開眼しただけでもかなりの「嬉しみ」でした☆

憂鬱な狂詩曲を2発聴楽☆   ガーシュウィン

年に数回、この曲を無性に聴楽したくなる時期が今来ています

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ガーシュウィン George Gershwin (1898-1937)
ラプソディ・イン・ブルー Rhapsody In Blue (1924)
デニス・マツーエフ Denis Matsuev (1975-)
ニューヨーク・フィルハーモニック New York Philharmonic
アラン・ギルバート Alan Gilbert (1961-)
RCA Red Seal 88765492602 (2012)

今回、たまたま中古で2種の録音を相次いで入手☆
当該の曲を連続で聴楽してみましたが
録音の特性も含めて全く異なる個性としか言いようがありません

奏者の二人は、この曲を弾きそうな感じはあまりしませんね
特にマツーエフが意外な感じもしますが
それが目当てという気分もあります

二人とも、各自特有の極端な表現ということはありませんが
マツーエフの録音はピアノを主役にした録り方で
ケンプの方は、管弦楽との溶け合い重視かな

GershwinKempf.jpg

フレディ・ケンプ Freddy Kempf (1977-)
ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団 Bergen Phiharmonic Orchestra
アンドリュー・リットン Andrew Litton (1959-)
BIS SACD-1940 (2011)

独奏にジャズ的雰囲気は両者ともに薄い気もしますが
前者は伴奏が御膝元とも言えるNYP
後者の指揮者はジャズ好きのリットンということで
(BISから最近ジャズピアノ独奏の録音まで出た)
伴奏の特徴を聴楽するのも愉しいところです

リットンの方が、ジャズバンド版のためか
ピアノより伴奏がスイングしているのが摩訶不思議な感じで
ケンプのピアノは、以前の壮大な感じとは別の趣がして
(路線変更したという話をどこかで読んだことがある)
密やかにラヴェルっぽい感じの独奏なのが意外に面白いんです

ギルバートのNYPは、スイングという感じではない
正に正統派の現代管弦楽ですよ
でも、総本山のオーケストラという自覚は不思議にも「ある」

超高解像度明快明白なマツーエフの独奏に
個人的にはインパクトを得ましたが
私的には、この2盤を交代で楽しむというのがいいのかなと
片方のみには頼れないという感覚はあります

独奏バーンスタイン以下説明不要   ガーシュウィン

もうですね、ジャケットの雰囲気そのものの中身ですよ

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ガーシュウィン George Gershwin (1898-1937)
《ラプソブィー・イン・ブルー》 Rhapsody in Blue (1924)
《ピアノのための前奏曲》第2番 (アンコール、独奏) Prelude for Piano no. 2
ロサンゼルス・フィルハーモニック Los Angeles Philharmonic Orchestra
レナード・バーンスタイン (指揮、ピアノ) Leonard Bernstein (1918-1990)
ドイツ・グラモフォン Deutsche Grammophon 410 025-2 (1982)
(新品:2012年8月、Amazon.com にて購入)

この曲は、今まで何種類かの演奏を聴楽した限りでは
Classical奏者とPopular奏者では、もう「まるで違う」んです
前者の場合は、曲の性格上で自然に入ってしまうようなスイング
それすらコントロールされた感じになり
後者の場合は、カデンツァがアイディアの大盛りてんこ盛りになます
(聴楽体験中では、30分に近い演奏時間の愉快なのもありました)

私的には、この曲は自由なスイングがある方が好きですね
当盤はかつて25年以上前に聴楽したものですが
いまだに私の愛聴盤として、その輝きは衰えません
他の演奏を聴楽しても、無意識にこれと比較してしまいますから
(でもって、こっちが残る)

バーンスタインのソロは、ClassicalとPops, Jazzの中間かな
むむむ、何やら絶妙な位置を占めているようです
欧州の作曲家の傑作群とアプローチは似ていて
80年代の彼らしく、「たっぷりと」聴楽させてくれるのが嬉しい
最後の「タタタタラタタ~」のメロディも、控えめながらスイング☆

オーケストラの方も、結構な遊び心を発揮していますね
冒頭のクラリネットにしろ、金管にしろ
入念に、Classicalっぽくない作り込みをしているようです

ピアノのすぐ脇に、飲み物を置いたり
煙草をふかしながら弾いているような
何ともリラックスしたような気分
これが、あまり残響の多くない、やや乾いた感じの音場の中
ウエットでない、適度に澄んだピアノの音色ともに漂うのです

ライブ録音とのことですが、ソロの時に
ちょっと咳ばらいが聴こえる程度です
しかし、アンコールの前後には拍手が収録されており
《ラプソディ》の後にアンコールが続いているような構成は面白いですね
(実際のコンサートもそんな感じだったんでしょう)
曲の結尾は、深く、なかなかに耳に吸い込まれるような心地よい低音…
この拍手なんですが、クラシックの演奏会的なものではなく
聴衆の口笛の入り方なんて、まさにポピュラーの世界なんです

普通なのに即興っぽさビンビン   ガーシュウィン

これまで聴楽して来た盤とかなり趣が異なりますが、イイ!

NaiveGershwin.jpg

Gershwin (1898-1937)
Rhapsody in Blue (1924)
David Greilsammer (piano)
Orchestre Philharmonique de Radio France
Steven Sloane
Naive V 5224 (2009)

私が、もしピアノ協奏曲を弾けるようになりたいと考える場合
なぜか不思議と候補として想起される曲ですね
(もっとも、ピアノ協奏曲として構想された訳じゃないけれど)
大好きなプロコフィエフの第3番や、ラヴェルの左手じゃないんですよ

大昔ですが Yosuke Yamashita の独奏で実演を聴楽したことがあります
公開録画で、当時は Jazz が即興音楽であることすら知らなかったので
時々左手を拳にして鍵盤を叩いている瞬間を見ても
TV用のパフォーマンスだと思い込んでいました
このシーンでは会場から笑いが起こっていたと思うのですが…

Jazz畑の奏者の場合、大胆な即興がなされるみたいですね
大体において、15 ~ 16分の音楽ですが
マーカス・ロバーツ (Marcus Roberts 1963-) の録音だと
むちゃ楽しい山盛りの即興で約27分と記憶しています

今回は、意外にもNaive発
奏者は David Greilsammer (デヴィド・グレイルザマー 1977-)
全く初めての聴楽奏者ですね。幼少の頃に Mozart に大インパクトがあり
それいらい強いこだわりを持っているそうです
天衣無縫な曲想を気に入ったのかな。ならば
Gershwin をレパートリに入れるのもわかる気がします

この曲は、印象としては、時間を凝縮したような
結構コンパクトな演奏が多い気がしますが
この録音は、トラック自体が 17:59 と、ほぼ 18 分となり
(Bernstein 盤 (DG)よりもさらに 1分近く長い)
結構この長さは珍しいと思いますよ

独奏部分では、やはり思う存分に時間をとっているようです
大らかというか、音が集約される感じではなく
奏でられる音がどんどん解放されていくような気分…かな…
初聴楽ではちょっと戸惑ったのですが
このゆったりとした感じに逆にハマりつつあるんですねこれが☆

意外な即興が聴楽できるのではなく
特に変わったことは全然していないのですが
「楽譜通りっぽいのに即興っぽさがビンビン来る」
この余裕の独奏のおかげで
聴楽し慣れた曲のまた別の面に気づくとは思わかなかったです
「こういう行き方があるとはなぁ」とニンマリしてしまいますよ
CDのような録音藝術の生き残り策の一つかも知れませんね

ああ神さま、私は出発します!   ガーシュウィン

この曲は、希望を失わない人間の意志に向けた讃美歌なんですよ、たぶんね…

GershwinLevine.jpg
Gershwin (1898-1937)
"Porgy and Bess" Suite (Catfish Row)
Chicago Symphony Orchestra
James Levine
Deutsche Grammophon 431 625-2 (1990)

時々無性に聴楽したくなるのがこの人の音楽なんです
理由は、まぁわかりませんが
しかし、どうにも身体が「スイング」を欲している時があり
聴楽の出番は結構頻繁にあります

この曲の初聴楽は、1989年頃
Dutoit指揮のDecca盤でして、当然ながら有名な2曲
Rhapsody in Blue と An American in Parisが目当てでして
肝心のこの曲はノーマーク。「変な曲でなければいいや」という程度でした

が、一聴、もう面白いのなんの!
典型的なClassical作品を聴楽して来た耳にしてみれば
単に有名な旋律を繋いだ稚拙な構造という勿れ!
こういうのは愉しいと素直に認めないとね!

George Gershwin, "Porgy and Bess"
Summertime, My Man's Gone Now, I Got Plenty o' Nuttin'
Bess, You Is My Woman Now, It Ain't Necessarily So
I Loves You, Porgy, O Lawd, I'm On My Way

劇中の有名曲がどんな歌か、筋書きはどんな感じと思った方は
取りあえず検索してみてください (youtubeが愉しいです)
リンクはすぐに切れるものと考えますので
こちらには載せないことにしています

さて、私も検索するまでは各曲のタイトルも知らなかった訳ですが
Youtubeで聴楽してみると、演奏形態は違えども
やはりどこかジーンと来てしまうんですね

いろいろな管弦楽編曲があるらしいですが
この (Catfish Row 《なまず横丁》)は、Gershwin自身の編曲だそうで
有名なBennett編曲の、Porgy and Bess: A Symphonic Pictureと比較すると
粗削りな感がありますが (それだけBennett編は洗練されている)
個人的な印象だと、作曲者自編には、より迫力があり
旋律を担当する楽器の選び方が、歌劇の筋書きに合っている気がします

私が最も好むナンバーは最後に出てくる、O Lawd, I'm On My Way
「ああ神さま、私は出発します」
主人公Porgyの大切なBessは、悪いやつに騙されてニューヨークに行ってしまう
しかしPorgyは悲嘆に暮れているばかりでなく、彼女を探しに行く決心をする
その前途は全く予測できないものなのですが、音楽は情景描写ではなく
自身の信じることに心をくだく人間の気持ちを支える讃歌のように鳴り響きます

Gershwinは、この旋律の出だしに木管を起用していますが
どこか素朴な響きが、非常に場に合致していると感じるんですね
これがtrumpetに引き継がれ、爽快に拡がりながら朗々と奏されて行きます
今まで聴楽したCDはこの部分が非常にspeedyなんですが
Levineの指揮は、ここを悠々としたtempoで鳴らしているのが、とてもイイ!
trumpetの良さというのを改めて認識させてくれる鳴りっぷりです

物語のそれから先も、とても大変そうな気がするものの
何かとても気が楽になるというか、嬉しくなって来るんですよ

このCDは、DG盤では現役期間が一番長い盤ではないでしょうか
1993年の発売ですが、初出の装丁でいまだに手に入ります
よい盤はそのまま、という点ではDGはいい商売してると思うんですね
Gershwinの音楽は、メジャーオケでは意外に聴楽が難しいので、尚更です
LevineはPianoも自分で弾いてRhapsody in Blueも収録していますし
収録曲の組み合わせもど真ん中ストレートの強力さになっています
プロフィール

quietplace

Author:quietplace
聴楽記へようこそ!
関心事を書きちらしています。

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