怒涛のクレッシェンド☆   プロコフィエフ

何となく購入してみた録音でしたが
一聴してぶっ飛びました☆


DenisMatusevCarnegie.jpg

プロコフィエフ Sergey Prokofiev (1891-1953)
ピアノソナタ第7番変ロ長調作品83 Piano Sonata No.7 in B flat major Op.83 (1942)
デニス・マツーエフ (ピアノ) Denis Matsuev (piano)
RCA 88697291462 (2007)
(ディスクユニオン新宿クラシック館にて捕捉)

これまで聴楽して来たこの曲の録音中でも有数のインパクトです
(私としてはベスト演奏の一つであると認めざるを得ません)
マツーエフは、1998年チャイコフスキーコンクールの覇者
これまでに多数の録音を発表していますね
剛腕奏者として評価にはバイアスがかかっている感じですが
私は「剛腕」はあっていい資質だと思っていて
曲の方でもそれを待っていたという感じの演奏になっています

演奏時間は(7:56/6:45/4:01//18:42)ですが
第3楽章は、実質3:08ほどの演奏で
(残りは拍手が収録されている)
実演としてもかなりの速度になっています

カーネギーホールでのライブ録音ということで
気合は十分に入っていたことでしょう
ピアノが打弦する楽器だというのがよくわかる
鋼が「ビィ~ン」と鳴るような感覚というのかな

第1楽章の響きからして今までとちょっと違う
どちらかというと、左手が強めに聴こえるのが新鮮です
(マツーエフはもしかしたら左利きなのかな)
激しく熱い左手のパッセージがノリを作り出しているな

音を細かく区切らず、残響を大切にしているというか
響きの中で細かいパッセージが炸裂する、なかなかの演出!
(ペダルの使い方が独特なのかも知れない)

第1楽章アレグロの勢いが、第2楽章に残ってしまう演奏も多い中
しっかりブレーキを踏んでくれたので一安心
楽章最後で明滅する音の連続は、静寂を感じさせてくれました

でもって第3楽章!
音楽をブロックごとに分け過ぎて、緊張感の落ちる演奏が多いんですが
今回は違った、全く違っていた!
楽章をいくつかのクレッシェンドの連続として捉え
各クレッシェンドの音の増大が緊張感を漲らせます
第1楽章と同様、強烈な左手のパンチ力がノリを支え
最後の方のド迫力はもうさすがプロとしか言いようがありません☆

演奏終了と同時に怒涛のような拍手が!
アメリカの聴衆はリアクションがストレートだな☆
もちろん私も脳内大拍手が止まりません!

100年目の余韻☆   プロコフィエフ

現在所持している音源としては、唯一の国内盤です☆
ついているオビの文言を見た瞬間
「これは買わねば」と思ったものです

Ootagros Piano

プロコフィエフ Sergey Prokofiev (1891-1953)
《束の間の幻影》 作品22 Visions fugitives Op.22 (1918)
高橋悠治 (ピアノ) Yuji Takahashi (piano)
コジマ録音 ALM Records ALCD-7200 (2016)

使用ピアノは、1900年製のスタインウェイ
評論家だった大田黒元雄氏の旧蔵
現在は東京都の杉並区立大田黒公園記念館蔵になっています

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氏邸は品川区大森と杉並区にあり
大森の方で1915年から1917年にかけて
芸術家を招き、氏自身でもピアノを演奏した音楽会が催されていました

その時のピアノが、今回の録音で使用されているものです
かなり老朽化しておりましたが
ピアニストの青柳いずみ子氏らの尽力でメンテナンスされ今に至ります

OtaguroKinenkan2.jpg

荻窪の記念館は私も行ったことがあるのですが
実に閑静な住宅街の中にある洋館を中心とした公園になっています
当時の音楽会のプログラムなんかも展示されていて
少しの間目をつぶって、室内の静寂を楽しみました
いやぁ雰囲気溢れる建物ですよ~住みたいっ☆

ピアノ自体は、プロコフィエフが1918年に来日した時にも触れたもので
伝記によると、アメリカに行く直前の贈り物として
「これは音楽がわかる大人のための曲です」と
ピアノソナタ第4番Op.29を演奏したそうです

…目の前で作曲者の弾くソナタ第4番!う、羨ましい☆

今回のアルバムは、大田黒氏が実際に会で弾いていた曲を元に制作され
(曲は、前述の青柳氏と高橋氏で分担。プロコは高橋氏が全曲を担当)
氏と縁の深いプロコフィエフの曲としては《束の間の幻影》が収録されました

録音はピアノのある記念館で行われています
古いピアノを鳴らしている感じというのがありますよ
ほの明るい白い光が記念館の応接間の空気に溶け込むように
外の曇り空に立ち上り消えて行くように
高橋氏は静かにピアノを操ります

全20曲約22分の束の間の時間
中には先鋭な曲もありますが
自由な起伏を描き、音のパレットに怪しいうごめきを残しつつ
最後は静かに無音に帰って行きます…

OtaguroProkofiev.jpg
大田黒夫妻とプロコフィエフ (27才)

今年はプロコフィエフの来日100年目、当曲作曲100年目に当たります
短いながらも、何とも感慨深い時間を過ごしたのでした☆

魅惑の第2ピアノ協奏曲☆   プロコフィエフ

先月以来、なぜかピアノの音色が厳しい感じがして、弦楽器に避難しておりました
ピアノがメインになる曲の聴楽はほぼ2か月振りになります
でもって今年初のプロコフィエフ聴楽☆

BeatriceRanaProkofievTchaikovsky.jpg

プロコフィエフ Sergey Prokofiev (1891-1953)
ピアノ協奏曲第2番ト短調作品16 Piano Concerto No.2 in G minor Op.16 (1923)
ベアトリーチェ・ラナ (ピアノ) Beatrice Rana (piano)
サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団 Orchestra Dell'Accademia Nazionale di Santa Cecilia
アントニオ・パッパーノ (指揮) Antonio Pappano (conductor)
ワーナー Warner Classics 0825646009091 (2015)
(ディスクユニオン新宿クラシック館にて確保)

ラナさんは初聴楽のピアニスト。1993年イタリア生まれですが
イタリア出身の女性ピアニストの録音は初聴楽かな?
録音蒐集のバリエーションが広がって嬉しい☆
彼女はもう既に何枚か録音が出ていますね
主な受賞歴は、2013年のクライバーンコンクール2位

ここ数年、プロコの2番を録音する女性ピアニストが数名出てきたのは歓迎です
(ヴィニツカヤ(Naïve)やユジャ(DG)等、技巧派の録音が記憶に新しい)
しかも、プロコ以外の作曲家の曲とカップリングしていますね
相当自信があるんだなこりゃ

ラナさんはプロコ、チャイコの順に収録
演奏時間(11:40/2:26/6:07/11:48//31:55)と丁度良い感じのテンポ
特徴的なルパートみたいのはほぼゼロ、この曲には馴染まない軽さもなく
ある程度の重々しさを持ってズバズバと進行させて行きます
ピアノは実に明瞭に収録されていて、清澄な響き
最初の見せ場、第1楽章のカデンツァはアッと言う間に通り過ぎるが
性急な感じはなく、最近の人はこれくらいが当たり前なのかと驚きます

この曲は、過激な響きに満ちてはいますが
リズムとかを相当工夫しないと単調になり、捉えどころがなくなってしまいます
(私見だと、第2楽章と、残りの他の楽章のコントラストが薄くなり失敗する)
オーケストラに負けない、実にカラフルな音色で魅せてくれます

独奏がもう十分に洗練されていますので
かなり高速の第2楽章
奇怪で過激なラジオ体操の趣がある第3楽章
光と闇の対比が鮮やかに存在感を放つ第4楽章
特徴の一つとなっている「グロテスク」な側面が
重々しくも輝かしい瞬間になって耳に伝わるのが新しいと思います☆


空間を漂う弦と鍵盤   プロコフィエフ

音響的に絶妙に設定された空間の中で
室内楽の良さが実感出来ると思います

PietscheProkofiev.jpg

プロコフィエフ Sergey Prokofiev (1891-1953)
ヴァイオリンソナタ第1番ヘ短調作品80 Violin Sonata No.1 in F minor Op.80 (1946)
フランチスカ・ピーチ (ヴァイオリン) Franziska Pietsch (violin)
デトレフ・エイジンガー (ピアノ) Detlev Eisinger (piano)
アウディーテ Audite 97.722 (2015)

伝記的には1938年から中断を経て完成が1946年
交響曲第6番と共に、シリアスが前面に押し出された大作でしょう
30分前後の演奏時間の作品ですが
聴楽するとその存在感に圧倒される稀有な曲でもある

作曲者としても、1938年頃の感覚では発表が難しかったのかも知れないな
(印象としては、1939年頃が締め付けが最も厳しかったように見える)
かと言って1946年に発表して国家当局の締め付けが緩いとも思えません
しかし、第6交響曲と発表時期を重ねるようなことをして
プロコフィエフが冷遇されていたとはいえ
何とか生き延びたことは音楽史上の幸運だと感じます

演奏時間 (7:04/7:01/7:48/7:31//29:24)

巨大な伽藍を築くような趣とは異なる演奏
第2、第4楽章の速い箇所では奔放に駆け回るヴァイオリン
特に第2楽章では透明感と力感の同居したピアノ伴奏に乗って
灼熱の時間が繰り広げられる
全曲に漂う冷厳なトーンの中で、この瞬間はとても輝かしく聞こえます

弱音に関しても仄暗い視界の中を
弦の音が忍び込むように漂って行く…
残響が巧みに収録されていることを意識させられますね

大迫力☆「氷上の戦闘」   プロコフィエフ

Oehmsというと、装丁にあまりお金をかけない印象がありますが
中身が凄いことがありまして、久々の大ヒット☆

DmitrijKitajenkoOEHMSoc459.jpg

プロコフィエフ Sergey Prokofiev (1891-1953)
カンタータ 《アレクサンドル・ネフスキー》 作品78
Alexander Nevsky, Cantata for Mezzo Soprano, Mixed Choir and Orchestra, Op. 78
アグンダ・クラエワ (メゾ・ソプラノ) Agunda Kulaeva (mezzo-soprano)
チェコ・フィルハーモニー合唱団  Tschechischer Philharmonischer Chor Brno
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団 Gürzenich-Orchester Köln
ドミトリー・キタエンコ (指揮) Dmitrij Kitajenko (conductor)
エームス Oehms OC459 (2015)

中世ロシア救国の英雄アレクサンドル・ネフスキー (1220-1243)
の故事を描く大合唱曲 (7楽章)。故事詳細は私はウィキペディアで読みました
(元はエイゼンシュテイン監督作品の同名映画音楽。音楽の方は作品番号なし)

「蒙古の圧政に喘ぐロシア」 (2:42)
「アレクサンドル・ネフスキーの歌」 (3:21)
「プスコフの十字軍」 (6:52)
「立ち上がれ!ロシア人民」 (2:35)
「氷上の戦闘」 (14:06)
「死の原野」 (5:57)
「アレクサンドルのプスコフ入場」 (5:09)

15才の時から数えきれない回数聴楽して来た曲ですが
ここに来て決定盤的なものが出てきたのかも知れないです☆
私にとっての「決定盤」とは「ここはこのテンポでやって欲しい」
という希望がまんま叶えられている演奏であることが多いです

全曲通して「音が大きく、また太い」んだなこれが
この辺は「鳴らす」指揮者であるキタエンコの面目躍如ですね
今まで聴楽して来た演奏は、この大規模曲でありながら
線が細い箇所が多いと感じていたんです

第1曲の冒頭から低音が唸ってます
実は最初あまり期待しないで聴楽を開始したのですが
ここの音響で驚いて、後はもうアッと言う間の聴了でした

合唱も聴楽子に距離が近いというかはっきり聞こえるのがよろしい☆
第2曲の幅広い世界が広がる開始から期待を抱かせ
第3曲の大太鼓ととの掛け合いも実にスリリング
この辺りは録音の仕方も上手いと思います
低音と合唱の両方を強調した方針が功を奏しているのでしょう

氷の上の決戦では、まずリズムを刻む小太鼓の音量を最初から絞らず
やや大きめの音で開始することにハッとし、かつ拍手してしまいましたね
管弦楽全体で盛り上がって行く感覚は実に昂奮させられます
小太鼓の音はサラサラとしたものではなく、私好みの「ズババン」系で
合唱に次ぐ第2の主役の役割を見事に果たしています

第6曲では夫、恋人、息子の戦死を嘆くメゾソプラノの登場ですが
録音全体の方針なのかな、アグンダさんが実にはっきりと歌い上げるんですね
すぐそばで歌っているような聞こえ方がまた不思議な感覚を醸し出しているようです
歌詞が結構陰惨ですから、こうなるとどうしたって感情移入してしまいますよ

第7曲はかつて占領されていた都市に進入するネフスキーを描きます
開始後、女声合唱が始まる前に印象的なベルと木琴の導入がありますが
これに歌が乗ると、これらが故事の幻想だというのを実感できます
この曲で一番好きな瞬間の一つですねぇ☆

でもって最後の大合唱なんですが、私的ポイントは
「ここを速くやらないでくれ☆」というものです
ここを速くしてしまうと、物語全体がコントっぽくなってしまうので
実際ここの直前までドキドキしていたのですが、さすがキタエンコ!
もう実に絶妙な悠然とした進行です
各楽器、合唱とも実に鮮明に録音されていますので
何て言うのかな、巨大なものが立ち上がる感覚を抱かせてくれるのです☆
プロフィール

quietplace

Author:quietplace
聴楽記へようこそ!
関心事を書きちらしています。

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