悠然とした大河の流れ   R・シュトラウス

毎年この時期になるとアルプス登山なのです。もちろん脳内ですが…☆
引越し狂騒曲の後、短い夏休みに何か聴楽するものを!
なるべく大曲をと考えると、やっぱ筆頭に出て来るのはこれですよ


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リヒャルト・シュトラウス Richard Strauss (1864-1949)
アルプス交響曲 作品64 Eine Alpensinfonie op.64 (1911-1915)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 Royal Concertgebouw Orchestra
マリス・ヤンソンス Mariss Jansons (1943-)
RCO Live RCO 08006 (2007, SACD)

聴楽記でのこの曲が登場するのは5回目だと思います
ここで第1回目の投稿をする寸前まで
正直なところ、意味不明に近い曲だったのですが
1度聴楽する毎に理解を深めて来たというか
感激の度合いが高まって来ている音楽なんですよ
いやぁ、いいモノは何度聴いてもいいんだよ
わかっていてもその都度ジーンと来てしまうのだから☆

同じ自主レーベルを出しているロンドン交響楽団に比して
このロイヤルコンセルトヘボウは、私としては地味に映りますね
レパートリ的なものだとは思いますが
今までにも殆ど聴楽機会がなかったですから
CDジャケットの装丁も独特な雰囲気で、近寄りにくい気もしたなぁ
今年に入って首席指揮者がガッティ (Daniele Gatti 1961-) に代わり
彼の出す第1弾のジャケット装丁は、これまでと違いますね
そういう方針なのかな?

DGの看板指揮者たちの録音に比べれば
「豪壮」というよりは、当録音はとにかく「壮大」です☆
冒頭、夜から日の出の寸前までの箇所で
各楽器が交錯する空気は実によく録れています
これらの不規則で茫洋な響きが、次第に大河の流れを作っていく
(小太鼓が少しずつクレシェンドするのが明瞭に聴こえたのは初めてかな?)
その過程がとにかくワクワクするんですね

実生活の早朝の空気と全く同質のものを、管弦楽で再現している!
私の場合だと午前5時過ぎ、外を微かな自動車のエンジン音がする
沈黙の合間を縫って、小さいけど明瞭な、出勤する人の規則正しい足音
離れた場所で、どこかの窓かドアを開ける音が微かに聞こえる
また沈黙…、これらが少しずつ重なって、自分も出勤のためにドアを開ける
外に出ると、大気が一気に広がって、今日一日がスタンバっている
そんな流れを思い起こして、実に不思議な気分だ☆

しかしこれは仕事じゃなくて山登りというのが、最高にイイ☆☆☆☆☆
高揚する気分のうちに、一瞬短調のコードに切り替わる辺りは
さすがな演出だなと、いつも思う
初期の聴楽で、とりとめのない気分になりがちだったのが
音の進行に身を委ねていると、実に自然な気持ちに切り替わって行くんだな
ずっと高揚、ずっと愁嘆では、人間持たないからねぇ
愉しい遊びの中で、時々現実生活を思い出して、一瞬だけど憂鬱になる
人間とは複雑な生き物だな…、まぁいいか☆

今回のヤンソンスの演奏プランも、頂上よりも後の部分に重点かかってるのかな
「嵐」の部分でウインドマシンの気合の入り方が楽しいぞ
でもって、今回は更に、音量的なものとは別に
日没以降の箇所が更に心温まる格別なものに仕上がっているようです
(この演奏では、金管と同じくらいかそれ以上に木管群が健闘している)
私はここに辿り着く辺りが、この曲で一番好きな瞬間です

休日とも自然ともまたしばしのお別れ…山々は闇に閉ざされて行く
人間のちっぽけな感傷的な気分もすっぽりと飲み込んでしまう夜の闇
実にいい50分間ではないかなぁ☆

「スマート豪華」な《英雄の生涯》   R・シュトラウス

私は「巨匠イチオシ聴楽子」ではないのですが
やはり若手と超メジャーでないオーケストラの録音を聴楽するのは
いくらか「趣味的緊張」を伴うことと感じています
して、聴楽の結果は「実に愉しい時間」となりました☆


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リヒャルト・シュトラウス Richard Strauss (1864-1949)
交響詩 《英雄の生涯》 作品40 Ein Heldenleben Op.40
バーミンガム市交響楽団 City of Birmingham Symphony Orchestra
アンドリス・ネルソンス Andris Nelsons (1978-)
オルフェオ Orfeo C803 091A (2009)

年末年始ブッ通しの仕事狂騒曲も一段落。数日の小休止に入り、ホッと一息☆
こんな時こそ、満を持して大曲を聴楽したいもので、選んだのはこの曲
若い世代の指揮者で、シュトラウスをまとめて録音しているのは
この人くらいじゃないかなぁ

バーミンガム市交響楽団を聴楽するのは、かなり珍しいかも知れません
(EMIの、ラトル指揮プロコの5番とスキタイ組曲くらいか)
ネルソンスはオルフェオが本当に推しているのだと思います
普通は、DGやWarnerでもない会社が
録音当時30才前後の若い指揮者のCDをバンバン出したりしないでしょう
しかも、シュトラウスとチャイコフスキーはシリーズとしての企画ですし

オペラを得意としている人でもあって
このシュトラウスの鳴らし方も、何とも「スマート豪華」な雰囲気がありますね
細かいことを言いたい人は結構いるとは思いますが
全体としては実に立派に耳に伝わります

そう、「ツボ」を押さえたとは、こういう演奏のことを言うのかな☆
旋律のまとめ方、場面転換の微妙なテンポの変化
ベテランの超絶名手とはまた違った、「イイ!」を感じさせるんですよ

ヴァイオリンのソロは、セッションでは強調されない
生演奏ならではの強弱の「生きた」コントロールが聴けます
強烈に主張しないながら、こちらも何とも着実な雰囲気が嬉しいな☆

会場の照明装置か何かの発する音と思うのですが
弱音の箇所に来ると「ブーン」という音が、雰囲気を損なう所まで行きませんが
結構はっきりと聞こえることがあります
(ヘッドフォンの大音量で聴楽したことも影響してるかも)
しかし、演奏自体が魅力的なんで、それは許してしまいますね

この時期の聴楽を想定して
年末のクソ忙しい時期に、ネルソンスのシュトラウスを3枚まとめて購入
これは成功でした。他の2枚も早く聴楽してみたいと思いますもの

夏は終わり、季節は巡る…   R・シュトラウス

今年の8月は、初旬に猛暑こそありましたが
何とか終わりそうです。季節の変わり目にはやはりこの音楽…


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リヒャルト・シュトラウス Richard Strauss (1864-1949)
《4つの最後の歌》 Four Last Songs
アンネ・シュヴァネヴィルムズ (ソプラノ) Anne Schwanewilms (1967-)
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団 Gurzenich-Orchester Koln
マルクス・シュテンツ Markus Stentz (1965-)
オルフェオ Orfeo C858 121 A (2011)

シュヴァネヴィルムズの歌唱は初聴楽です。今まで聴楽したこの曲は
録音の方針なのか、オーケストラに溶け込むような録られ方だったかな
幅広さを感じる声質という感じではありませんが
非常によく通る声で、歌詞が言葉がよく聞こえる
溶け込む、と言うのとはちょっと趣が別のものですが、それがいいんです☆
全体的にテンポがゆっくり目の演奏ですが
歌唱が埋没しないで軽やかに流れるので、ダレないのかも知れません

語尾の無声音が結構リアルに収録されていて
「これは人間が発声する芸術なのだ」という雰囲気に浸れます

この曲集の並び順は、度々議論になるらしいですが
個人的には一般的な以下のパターンに賛成です

第1曲 「春」 詩ヘッセ (Hermann Hesse) (03:27)
第2曲 「9月」 詩ヘッセ (Hermann Hesse) (05:16)
第3曲 「眠りにつく時」 詩ヘッセ (Hermann Hesse) (05:37)
第4曲 「夕映えの中で」 詩アイヒェンドルフ (Josef von Eichendorff) (08:23)

最初の2曲では、2つの季節の大気の中に立つ人間
空気と肌が接する感じというのかな
そのことを特に歌詞が上手く表現しているなぁと感じるのです
「9月」の終わり近く、ホルンの翳りを伴う吹奏は、典型的なシュトラウス節
夕暮れの迫る中、少しずつ闇が薄く積み重なる情景が心に浮かぶ…
聴楽側としては、完全に「ツボ」を押さえられた気分になりますね

実際の「夏という活動的な季節が終わる」という、やや感傷的な気分
人の生涯で最も活動的、活躍が続く「人生の夏」の終わり頃
これを作曲者が思い出しているという感じがします
結尾での半音階的に下がって行く弦楽は実に、実に感動的です
音程が少しずつ下がっていくだけなのに
なぜこうも心を揺さぶられるのか…

後半の2曲は、時間の中の心の動きという趣でしょうか
季節という感覚はなくなり、ただ時間の進む中
気分も平静になり、それを破る何ものかも全くいなくなる
第4曲歌詞中の、雲雀の飛ぶのを眺める気分というのは、どんなものでしょうね
普段は暑い中でせっせと仕事して、とてもそんな気分は思い起こせない (笑)

特に第4曲では、後奏を長くするという発想が成功していると思います
歌唱の方は、ここまでシュヴァネヴィルムズが清澄に表現していますが
その歌の末尾で、終結感なく、どこへともなく吸い込まれるように消えて行きます
それから後は漠とした時間、雲雀の鳴き声がどこからか聞こえ
漠とした心の中の風景が静かに続き、やがて消える…
疲れた体を休める静かな時間の始まりなのでしょう☆

緩やかに夕闇に包まれてゆく頃…   R・シュトラウス

個人的には、第2曲「9月」の歌詞が印象に残り、大好きです
夏の終わりの、ちょっとしたぼんやりした気持ちが心に沁みます


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リヒャルト・シュトラウス Richard Strauss (1864-1949)
4つの最後の歌 Four Last Songs (1949)
シェリル・ステューダー (ソプラノ) Cheryl Studer (soprano, 1955-)
ドレスデン州立歌劇場管弦楽団 Staatskapelle Dresden
ジュゼッペ・シノーポリ Giuseppe Sinopoli (1946-2001)
ドイツ・グラモフォン Deutsche Grammophon 439 865-2 (1993)
(新品:2012年11月、HMV.co.jp にて購入)

第1曲 「春」 詩ヘッセ (Hermann Hesse) (03:21)
第2曲 「9月」 詩ヘッセ (Hermann Hesse) (04:39)
第3曲 「眠りにつく時」 詩ヘッセ (Hermann Hesse) (05:12)
第4曲 「夕映えの中で」 詩アイヒェンドルフ (Josef von Eichendorff) (07:40)

元々はヘッセの詩による3曲は一まとまりの作として扱われていたようです
4曲にまとめ、現在においての曲順に並べたのが誰かが不明とは…
でも、こういう謎めいた感じもいいなぁ

1950年の初演時は、3→2→1→4の順ということですが
歌詞の中身をみてみると、現行のオーダーが非常に妥当だと思います
伴奏管弦楽の色彩も、曲が進むに従って淡くなって行くというか
何となくセピア色がかって行くように感じられ
そして少しずつ落ち着いた暗闇に包まれて行く…
色のみならず、明暗も表現しているように聴こえるのです

少し華やいだ感じから、次第に落ち着いた静寂に向かう詩人の視点
聴楽前は、全曲短調で作曲されているのかと予測していましたが
私見だと、短調は心にやや緊張を与えるようにも思え
ここでの長調が、平穏と安らぎを到来させるのではないかなぁ…

調的には、天衣無縫な歌唱を包み込むように自由自在
シュトラウス的としか言いようがないです
森羅万象に包まれての安らかな休息に向かう心
アルプス交響曲の構成を抽象化したような高度な何か、にも思える

しかし、全盛期のステューダーの声は本当に美しい
最高の時期に引っ張りだこだったのですから
声楽家として本当に幸運な人でしょう
マーラーの8番では、アバド盤でも歌っていますね

ソリストを包み込むシュターツカペレ・ドレスデンの作る空間も心地よい
音を出しているのに静寂感を表現するって、矛盾していますけど
人間の感覚には、もっとも心地が良いのでしょうね
全てが控えめに奏されますが、弱さを感じることもまたありません

鳴り響きの快感☆   R・シュトラウス

開封したら、解説がデジパックに添付されてなく、裏表紙が白の空白!?
演奏時間、録音や演奏者のデータが名前以外まるでわかりません
元々そういう仕様?まさかと思いつつ、発売元のナクソスジャパンにメールしたら
やはり不良品ということでした。対応は迅速かつ親切で良品を直接送ってもらい
ダメの方は同封されていた封筒で送り返すというものでした
装丁の一部が全く空白とはね、何とも不思議なもので
珍しいから、持ってた方がいいかな、とか思ったりするくらいで…

StraussHeldenlebenWeigle.jpg

リヒャルト・シュトラウス Richard Strauss (1864-1949)
交響詩 《英雄の生涯》 作品40
"Ein Heldenleben" Sinfonische Dichtung, op. 40 (1899)
交響詩 《マクベス》 作品23
"Macbeth" Sinfonische Dichtung, op. 23 (1890)
フランクフルト歌劇場管弦楽団 Frankfurter Opern - Museumorchester
セバスチャン・ヴァイグレ Sebastian Weigle (1961-)
エームス Oehms OC 888 (2011)
(新品:2013年12月、タワーレコード秋葉原にて購入)

楽団名になぜ "museum"なのか、、これはWikepediaを読みなるほどと思いました
創設は古く、前身が1792年、現在に続く形としては、1808年ですから
かなりの歴史があり、今回の曲の作曲者指揮による初演楽団でもあります
(《ツァラトゥストラ》も初演)
バレエの引っ越し公演を聴楽しただけの経験ですが
劇場の楽団は、とにかく音がどう鳴るのかを熟知しているというか
「とにかくよく聴こえる」という印象があり
地味なジャケットの装丁ではありますが、期待して聴楽しました

速めのテンポの演奏に入るのでしょうか
私は、45分より速いこの曲の演奏を聴楽するのは初めてで
曲冒頭から「速いな」と、微かなソワソワを感じはしたものの
これは、演奏の内容の良し悪しとは無関係です

(4:23/3:42/12:33/7:42/6:30/12:16//47:06) ティーレマン (DG, 2002)
(4:18/3:29/11:51/7:36/5:59/10:37//43:50) ヴァイグレ (Oehms, 2011)

同じライブ録音のティーレマンと比較すると
後半の2曲の時間差が大きくなっています
今回のヴァイグレ盤、全曲にこもる「熱」というのかな
特に後半の2曲における暖かみが実に印象に残るのです
何なんだろうこの感覚は、速めながらどことなく壮大な…
ほんの少し涙腺が緩んだような、大満足の聴楽になりました

録音時のマイクの位置によるものと思われますが
全体的に、木管楽器の活躍が非常に鮮明に捉えられています
作品を一つの音響の塊としてよりは、不自然にならないように配慮しつつ
木管群の動きが気持ちよく収録されていると感じますね
やはり劇場のオーケストラ、とにかく聴かせ上手だ☆
聴かせ所を目一杯に楽しませてくれる、「プロ根性」を感じるというか…

CDの構成はなかなか興味深くて
あまり演奏されない《マクベス》が後に収録されていて
暗い終わり方をする曲を後に持ってくる意図は何かと思いました
ちょっと推理してみましたが、《英雄》とは違い
こちらには、演奏終了後の拍手が結構長い時間入っているんですよ

この拍手は、変な言い方になりますが、とても優秀な録音で
賞賛の声や口笛なんかも交じって、とても良い雰囲気なんです
確かに演奏自体、とても立派で、中間付近での盛り上がりを考えると
(実にカッコいいんですよこれが!)
なんでこんなに目立たない曲なんだと思うくらいでして
もちろん絶望的な終わり方の音楽でありながら
その直前に救いのようなハーモニーが一瞬現れます
(その辺が非常にシュトラウス的な絶妙な組み立てと思うんです)

《マクベス》 に拍手をつけて、メインのおまけとして孤立させない
なかなか味な仕掛けのCDだと思います
(地味な装丁で、おそらくあまり売れないと感じるものの)
シュトラウスの交響詩は来年の生誕150年に向けて
シリーズになるとのことで、大きな期待をしています
プロフィール

quietplace

Author:quietplace
聴楽記へようこそ!
関心事を書きちらしています。

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